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【コラム】親が生きている時だけなれる仕事~ファミリーワーク・中国

Global News Asia 2023年8月5日 12時0分

 日本の新聞の殺人欄をほぼ毎日飾るのは、介護していた親(介護していたはずの親に生活の面倒を見てもらっていたも含む)がずいぶん前に自宅で死亡したのに、収入減である年金が入ってこなくなるから、そのままにしていたという事件だ。ここには、もしや親が生き返るかもしれないと本気で思っていた人や、葬儀をあげたいけど相談する人が一人もいないまま時間がたってしまったも含む。在宅介護のゴールが親の死であるならば、ゴールを切った瞬間に、今まで介護に費やしてきた自分の時間がなんだったのか頭の中が空白になることだけは確かだ。

 もう離職して、貯金もわずかもなくて、在宅介護すると腹をくくったら、生活保護一択しかないと思う。介護から解放されたとき、自分が介護される年代になりハローワークでも紹介してくれるものがになるのだから。

 さて。中国には今「全職児女」=「専業こども」という新しい職業が生まれている。大雑把に、夫が外で働いて、家庭を守る妻が「専業主婦」と呼ばれているような使い方だ。

 「専業子ども」は、親という企業主と契約する。朝ごはんの支度やごみ捨てなど朝に始まる家事全般から一日中の家事を行う。犬の散歩もするから、ハウスキーパーと呼んでもいいかもしてない。これは、女性だけでなく、息子バージョンもある。会社で社畜扱いされ心を病むより、自宅に就職して、空いた時間は次のステップの勉強に充てても大丈夫だ。

 家事を学ぶとともに、スキルも手に入り、親孝行もできる。「専業子ども」なかなかだな。…だけど、その親が死んだら、どうするんだろう。

 「愛にあふれたフリーランス」と呼ぶ女性の「専業子ども」もいる。彼女は家事ではなく、親の楽しみにつきあうという仕事内容だ。朝のダンスに付き合う。午前中は両親の買い物のお供で荷物持ち件アドバイザー。家の中の電気製品の達人になり、夜は父親と夕飯を作る。さらに、月に1回から2回行う家族旅行の内容のアレンジもする。こういう一度人生を立ち止まって考える時間が必要だと、両親とも理解してくれているとは言う。

…だけど、その親が死んだら、どうするんだろう。

「専業子ども」に関しては、まだ中国国内で賛否が分かれている。

 今は子どもとして親に寄り添えばいいけれど、仕事を見つけたとたん親の介護が始まるのはよくある話だ。本来今まで自分がもらっていたお金は介護資金に消える。あったはずの財産もどんどん減っていく。

親、子供双が良い時間なんか、そうは続かない。

 日本では、部屋から出てこない人の方が多いけど「専業子ども」をニートや引きこもりとも呼ぶ。
【編集 : fa】

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