【コラム】娘のためならひと肌もふた肌も脱ぐぜ～ドゥテルテ元大統領の今

　フィリピンの任侠大統領といえば、言わずと知れたドゥテルテ元大統領だ。国とかのくくりではなく、好きな指導者は好きだし、嫌いな国には平気で弓をひく。なかなか自由で男前の大統領として知られていた。

　彼の後継者は、このジェンダーな世の中、息子ではなく、娘の現サラ副大統領だ。なかなか評判がよく、次回選挙では大統領になると目されていた。

　だが好事魔多し。彼女が2022年のとある11日間で機密費1億2500万ペソ(約3億2500万円)の使途に疑惑があるとされているのだ。使途内容は不明のままだ。

　彼女の支持率はこの問題が浮上する前には84％あった。しかし今は、79％。それでも、どこぞの国の総理よりは支持されている。不明の代わりに、彼女が提出していた2024年度の機密費6億5000万ペソ(16億9650万円)は否決され、南シナ海の主権を守る他の組織に振り分けられた(個人よりも、強靭に進出をはかる中国対策)。

　まだ噂の段階だが、彼女を弾劾する動きもなくはない。

　それを許さんとするのが、お父ちゃん・ドゥテルテ元大統領だ。娘が弾劾されるならば、再び政界に戻ると国民に向けて話した。「私はすでに引退している。失うものなどなにもないのだ。認知症検査でもなんでもして異常がないなら、78歳でもやってやる！」と強気だ。娘のために政界復帰とは、泣かせるじゃないか。娘をそれほど信用しているのだろう。使途不明についても、公明正大ななにか、公表はできないが正義に使われたと信じている。

　次の大統領選挙は、2028年、5年後元大統領は83歳になる。その前の2025年、80歳で上下両院選挙を突破だ。日本の首長にも、91歳でまだまだやれるという御仁もいる。日本でいうところの長谷川式(頭脳面)と脳シンチ、CTをクリアすれば、肉体的老化は家族一丸支援に委ね、大統領もできなくはない。

　ただ、このお父ちゃんを怒らせたら、どんな爆弾が飛び出すかわからない。現大統領は、弾劾はしない、彼女を守ると言っている…有能な子分を持って幸せだね、ドゥテルテ親分！
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