2024年秋、タイの老舗メディアであるタイラットにタイ政府によるEV車普及支援策が自動車産業に与える影響を考察している。そこでは、これまで大きなシェアを誇っていた日本車の動向が危惧されている。
日本の投資動向調査によると自動車産業に対する日本からタイへの投資は2年連続で減少傾向にあり、撤退する企業も現れ始めている。これは、主に中国からのEV車の流入が原因と考えられている。さらに景気低迷もそれに拍車をかけていると見られている。これまでにスズキとスバルがタイでの生産から撤退する事を決めており、低迷を続けるタイの景気の中、タイ政府の対策が急務となっている。
しかし、タイ政府ではこれまで進めてきたエコカー支援策を撤回し、EV車支援策に切り替えている。これにより大きな恩恵を受けていたスズキが撤退するに至った。
タイ日系投資専門家や日本の投資家からの情報を収集・分析 しているTJRI (タイ日本投資調査プロジェクト)の運営者カンタトーン・ワナバス氏は、「スズキとスバルの工場はタイ国内販売に注力して来た。したがって、両ブランドは中国のEV車支援策の影響をより早く直接受けることになってしまった。生産量は少ないため、タイ全体の自動車産業への影響は少ないものの、他の日系工場でも生産縮小の動きがあり、今後10〜20年を考えると業界全体の傾向とも言える。」と語った。
こうした動きは、他の業界も同様でパナソニックでは古くなったタイの工場をベトナムに新設した工場に移転する事が決まっている。それは、タイの国内市場が頭打ちであり、その原因が景気低迷と加速している少子高齢化によるものと考えられている。
しかし、急増するEV車市場にも問題が浮上している。それは中国メーカーによる価格競争が激化している事だ。新車の価格は中古車市場にも影響を与え、新車顧客が中古に流れたり、リピート購入を避ける動きに繋がる事から、長期的にはディーラーにも悪影響を及ぼすと考えられている。これは、ディーラー事業も重視して来た日系企業とは大きく違う点でもある。
日系メーカーでは、EV車の導入は進めるものの、EV車への切り替えにはまだ相当の時間がかかるとの見込んでいる。その為、主力としてはハイブリッド車を主眼に据えており、7月に打ち出されたハイブリッド車支援策を有効に活用する意向だ。
前述のカンタトーン氏は、「日本車がタイへの投資を撤退し始めた理由は、日本メーカーのEV参入への適応の遅れや国内自動車販売の減少など、さまざまな要因が考えられます。旧支援策の打ち切りとEV車への支援水準を引き上げるは、中国企業にとっては有利となますが、タイと日本が共同で構築してきたサプライチェーンは非常に大規模です。これまでにそこで育成され、幹部クラスも増えている人材を活用して活路を見出す可能性も含めて、これはタイにとって非常に重要であるため、できるだけ早くこの問題を解決するために日本の投資家と協力すべきでしょう。」と語った。
EV車を巡っては、今でもバッテリーからの発火事故など安全性を疑問視する向きも少なくない。ここまで長きに渡って築かれて来た日本とタイの協業環境の元で、新たな活路を探る動きは加速せざる得ないだろう。
【編集 : Ekkachai】
日本の投資動向調査によると自動車産業に対する日本からタイへの投資は2年連続で減少傾向にあり、撤退する企業も現れ始めている。これは、主に中国からのEV車の流入が原因と考えられている。さらに景気低迷もそれに拍車をかけていると見られている。これまでにスズキとスバルがタイでの生産から撤退する事を決めており、低迷を続けるタイの景気の中、タイ政府の対策が急務となっている。
しかし、タイ政府ではこれまで進めてきたエコカー支援策を撤回し、EV車支援策に切り替えている。これにより大きな恩恵を受けていたスズキが撤退するに至った。
タイ日系投資専門家や日本の投資家からの情報を収集・分析 しているTJRI (タイ日本投資調査プロジェクト)の運営者カンタトーン・ワナバス氏は、「スズキとスバルの工場はタイ国内販売に注力して来た。したがって、両ブランドは中国のEV車支援策の影響をより早く直接受けることになってしまった。生産量は少ないため、タイ全体の自動車産業への影響は少ないものの、他の日系工場でも生産縮小の動きがあり、今後10〜20年を考えると業界全体の傾向とも言える。」と語った。
こうした動きは、他の業界も同様でパナソニックでは古くなったタイの工場をベトナムに新設した工場に移転する事が決まっている。それは、タイの国内市場が頭打ちであり、その原因が景気低迷と加速している少子高齢化によるものと考えられている。
しかし、急増するEV車市場にも問題が浮上している。それは中国メーカーによる価格競争が激化している事だ。新車の価格は中古車市場にも影響を与え、新車顧客が中古に流れたり、リピート購入を避ける動きに繋がる事から、長期的にはディーラーにも悪影響を及ぼすと考えられている。これは、ディーラー事業も重視して来た日系企業とは大きく違う点でもある。
日系メーカーでは、EV車の導入は進めるものの、EV車への切り替えにはまだ相当の時間がかかるとの見込んでいる。その為、主力としてはハイブリッド車を主眼に据えており、7月に打ち出されたハイブリッド車支援策を有効に活用する意向だ。
前述のカンタトーン氏は、「日本車がタイへの投資を撤退し始めた理由は、日本メーカーのEV参入への適応の遅れや国内自動車販売の減少など、さまざまな要因が考えられます。旧支援策の打ち切りとEV車への支援水準を引き上げるは、中国企業にとっては有利となますが、タイと日本が共同で構築してきたサプライチェーンは非常に大規模です。これまでにそこで育成され、幹部クラスも増えている人材を活用して活路を見出す可能性も含めて、これはタイにとって非常に重要であるため、できるだけ早くこの問題を解決するために日本の投資家と協力すべきでしょう。」と語った。
EV車を巡っては、今でもバッテリーからの発火事故など安全性を疑問視する向きも少なくない。ここまで長きに渡って築かれて来た日本とタイの協業環境の元で、新たな活路を探る動きは加速せざる得ないだろう。
【編集 : Ekkachai】