いよいよ7月、パリオリンピックが開幕します。
大会では合わせて32の競技が実施されますが、その中で水泳、体操、新体操…ハンドボールなどといった競技に、大きく関わる“ある決定”が下されました。
北海道中学校体育連盟 吉本浩志 会長
「子どもたちにとって、競技できない種目が出てしまう、大会から除外されてしまうという、実際、残念な気持ちもある」
【日本中学校体育連】、いわゆる「中体連」が主催する全国中学校体育大会。
全部で19競技が行われていますが、6月、その半分弱となる8競技と、ソフトボール男子については、2027年度以降、実施しないことが決まりました。
マチの人たちは…
20代男性
「びっくり。中学生がやる大会では、一番大きい大会というイメージ」
30代女性
「(子どもたちの)選択肢が狭まってしまいそうで、かわいそうかな…という気も」
三重県から来た高校生
「水泳がなくなるんだというのが驚き。(全国大会は)部活の目標っていう感じ」
1979年の大会創設以来、大幅な規模縮小は初めてです。その背景を、もうひとホリします。
競技を除外する判断の基準となったのが、中学校の部活動の“設置率”です。
2027年度以降の大会から除外が決まった競技は、中学校における部活動の設置率が、いずれも20%未満。
少子化の影響で、中学生の全体数が減少し続けていることも、大きな理由です。
大会最多となる11度の優勝を誇る、北海道釧路市の強豪“鳥取中学校”アイスホッケー部。
数多くの栄光を掴んできましたアイスホッケー部が、唯一と言ってもいい全国の舞台で、そのチカラを披露できる機会は、残りわずかとなります。
鳥取中アイスホッケー部2年 鈴木絢大さん
「自分たちが今までやってきたことを、全力で発揮する場なので、なくなったりするのは悲しい」
鳥取中アイスホッケー部 兼平瑛斗監督
「中学校単位で試合する全国相手の大会は(他に)ないので、唯一の大会だったので、なくなるのは残念…。どんな形であっても同じような大会であったりとか、また、それに代わる何かきっかけが生まれてくればいいなと思う」
一方、パリオリンピックの競技にもなっているハンドボール。
6日、札幌市では、全国中学校体育大会の予選となる、地区大会が行われていました。
大会専門委員長 小坂謙太さん
「よくバスケットボールと、フットサルを足して2で割ったようなスポーツと言われるんですけれど、本当に魅力的なスポーツだと思います、ハンドボールは」
大会運営のほか、教員として、中学生の部活動を指導する小坂謙太さんです。
今回の決定については、さまざまな思いを持ちながらも、ハンドボールに取り組む子どもたちの目標は“大会だけではない”と話します。
大会専門委員長 小坂謙太さん
「子供たちにとって、大会の機会が一つ失われてしまうことは事実ですが、全中(=全国大会)を目標にしている子もいれば、運動技能の向上だとか、日々の健康のために部活動に取り組んでいる子もいるので、目の前の子供たちが、何を望んで部活動に取り組んでいるかということを、われわれがしっかりとおさえて、日々の指導にあたっていければと思う」
森田絹子キャスター
大会の創設以来、ここまで大幅な規模縮小は初めてのことです。全国大会の廃止が決まった競技は、全部で9つになります。
◆《全国中学校体育大会 2027年度以降に廃止決定の競技》
【水泳】【ハンドボール】【体操】【新体操】【ソフトボール男子】【相撲】【スキー】【スケート】【アイスホッケー】
ちなみに【スキー】は、開催地との契約上の事情から、競技廃止は2030年度となっています。
中学校での「部活動」設置率が20%未満という理由から、9つの競技が選ばれ、廃止が決定したとのことです。
ほかにも大会から9つの競技を廃止した理由としては、次のようなことがあげられています。
◎少子化によって、中学生の生徒数が減少し続けている。
◎教員の負担軽減の推進。
なお、大会の規模縮小が決まっているのは、あくまでも“全国大会のみ”とのことです。
地区予選や、全道大会の存続は、今後、協議を重ねながら決める方針となっています。
子どもたちにとって、競技の選択肢が減ってしまうのではないか…そうした懸念も広がる中で、部活動に留まらない取り組みもあります。
札幌市では唯一の、中学生ハンドボールのクラブチーム“サフィルヴァ北海道”です。
札幌市内で、ハンドボール部がある中学校は現在、わずか5校と限られる中、ハンドボール競技に関心がある生徒たちの、いわば部活動以外の受け皿として、2年前に活動を開始しました。
サフィルヴァ北海道 小箱駿太監督
「中学校の部活が、ハンドボールっていうのは少ないので、小学校の活動が終わった後は続けたくても、続けられないっていう環境にあった。その子たちが、こうやりたいっていう環境を作るために、クラブチームを作ったという経緯がある。本気でハンドボールを続けたいって思う人たちは、本州とかに行く子も何人かいるかなと思っているが、北海道のなかで、札幌市のなかで頑張って、ハンドボールを続けてくれたら一番嬉しい」
クラブチームであれば、【中体連】の全国大会ではない、クラブ同士の大会にも出場ができるといいます。
いったい、どういう方向に進むことが、子どもたちにとって、そして、競技にとって望ましいのか…。
さまざまな課題に直面している転換期だからこそ、丁寧な議論を惜しまず、子どもたちの希望を叶えられる選択肢を残せればと思います。