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中国の輸入禁止1年…北海道産ホタテ国内消費が伸びるも、これまでの輸出額をカバーしきれず“脱中国”シフト加速へ「攻めの投資」

北海道放送 2024年8月26日 21時22分

中国が日本産水産物の輸入を禁止して1年がたちました。中でも最大の「お得意様」を失った北海道内のホタテ産地では、中国頼みから脱却を図る動きが加速しています。

26日、札幌市の観光地二条市場です。新鮮な魚介をその場で味わうことができます。

一番人気は…

海外からの客
「Very fresh!シンセン」

北海道産のホタテです。特に、外国人観光客からの注文が絶えないと言います。

藤田商店 藤田博代表
「皆さんそういうこと(禁輸)は関係なく召し上がっていると思う」

東京電力福島第一原発にたまった処理水の海洋放出に反発し、中国が日本産の水産物の輸入を全面的に禁止してから1年が経ちました。

去年9月から先月までに、北海道内から輸出された水産物はおよそ395億円で前の年の同じ期間と比べて半減。

特に輸出額全体の7割近くを占めていたホタテは、最大の輸出先だった中国との取引が途絶え大きな影響を受けました。

網走市 水谷洋一市長
「こんにちは。北海道の網走でございます」

中国の輸入禁止以降、北海道内のホタテ産地は国内での消費を拡大しようとPRに奔走しました。


「おいしい!すごいおいしい。甘くて」

「(ホタテは)高いイメージがあるので、こういうふうに食べるとまた自分で買いたいと思う」

円安の影響や価格の低下による「値ごろ感」などから国内消費は伸びましたが、これまでの中国への輸出額をカバーするまでには至っていません。

こちらの水産加工会社は、ホタテが売り上げ全体の4割を占めていましたが、輸入禁止の影響で経営に打撃を受けました。

きゅういち 中西由美子取締役
「中国の禁輸が発表されてすぐは、在庫が積み上がっていた状態。どうしようかという気持ち」

インターネット通販や飲食店への営業を強化するなど国内向けの販売促進に加え、輸出先を中国以外の国にシフトする準備を進めています。

藤田忠士記者
「こちらの機械は8分間でホタテを急速冷凍することで、うまみをぎゅっと閉じこめることができるそうです」

ターゲットは、東南アジアやアメリカなど。

ホタテの加工事業を縮小するのではなく、付加価値をつけて国内外の販路を広げる「攻めの投資」で苦境を乗り切る考えです。

きゅういち 中西由美子取締役
「ありがたいことに(国内で)たくさん購入してもらった。それがすごくいいチャンスにつながりましたし、中国だけに頼らず販路を拡大することで、経営のリスクも分散していきたい」

中国が水産物の輸入禁止を解除する見通しが立たない中、北海道内のホタテ産地は「北海道」のブランド力を生かして新たな活路を見出そうとしています。

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