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「通報というテロ行為をするものは許すわけに…」パワハラ相談窓口への通報者を特定、組織ぐるみの報復を受けた 現職自衛官が国に賠償求めた裁判で口頭弁論 札幌地裁

北海道放送 2024年9月9日 19時24分

パワハラをめぐる内部通報が漏らされ、自白を強要されたなどとして、現職の陸上自衛官が国に約220万円の損害賠償を求めた裁判が口頭弁論が札幌地裁で開かれました。被告の国は、責任を認めた一方、賠償額で争う姿勢を見せました。

訴えているのは、陸上自衛隊北部方面隊に所属する50代の男性自衛官です。

訴えによりますと、男性自衛官は、2021年4月当時在籍していた東千歳駐屯地で、上官の部下に対するハラスメントを陸上自衛隊のパワハラ通報窓口に匿名で通報したところ、その内容が男性が在籍する部隊に伝えられ、通報者が特定されました。

その後、男性は上官から「通報というテロ行為をするものは許すわけにはいかない」などと言われ、遠方への異動をほのめかされるなど、不利益な取り扱いを受けたとして国に約220万円の損害賠償を求めています。

9日に開かれた裁判で、男性自衛官は「私は自衛隊の使命、任務、活動に誇りをもっていました。しかし、『内部通報はテロ行為』と言われ、ほかにも苦しんでいる隊員、ハラスメントを申し出たにも関わらず不利益を与えられ、もみ消しをされた隊員のことを考えると、組織が報復行為をするというデタラメな違法・不当行為は許すべきではない」などと、提訴した理由を述べました。

意見陳述書によりますと、男性自衛官は2021年4月、東千歳駐屯地の北部方面混成団第1陸曹教育隊にいた際、当時の上官が女性隊員に対し、「戻れ」という意味で指をさしなながら、犬に使う言葉で「ハウス」と怒鳴るところを見たり、自身も「バカ」「死ね」などと叱責されたりしたということです。そして、こうした行為を、陸上自衛隊のパワハラ相談窓口に匿名の文書で通報しました。

すると、その内容が男性自衛官が所属する部隊に漏らされ、通報者が探しが行われ、男性が特定されました。

男性自衛官は、複数の上官から「通報というテロ行為をするものは許すわけにはいかない」「威力業務妨害で告訴する」などと言われ、組織ぐるみで報復行為と報復人事を受けていると主張しています。

それに対し国は、窓口で通報を受けた段階では、公益通報の意思は読み取れず、匿名の文書を北部方面総監部人事部へ送ったことは違法性がないと反論。

一方で、北部方面総監部人事部から男性が在籍する部隊に内容が漏れたことで、通報者の特定が行われ、自白の強要や「テロ行為」などの発言があった事実については争わず、国に賠償責任があることを認めました。

その上で、約220万円という賠償額については、金額の根拠がないなどとして争う姿勢を見せました。

次回の弁論は11月18日に開かれます。

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