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【高齢窃盗団】車いすで出廷した88歳“実行役”服役中に親睦を深め「こと(窃盗)をするので運転してくれないか」運転手役の71歳と金品保管の69歳は高校の同窓生 裁判で背景が明らかに

北海道放送 2024年9月15日 13時12分

札幌市や江別市内の空き家から金品を盗んだなどとして高齢の男3人が逮捕・起訴された事件で、88歳と71歳の2人の初公判が10日、札幌地方裁判所で開かれました。裁判では、刑務所で知り合った3人が、服役後も親しく付き合い、再び犯行に及んでいた経緯などが明らかになりました。

札幌市北区の無職・海野秀男被告88歳と、白石区の無職・松田秀美被告71歳は5月、江別市の空き家に侵入し、ウィスキーを盗んだ罪などに問われています。

この事件では、2人が盗んだウィスキーを保管したとして、無職の渡辺健一被告69歳も起訴されています。

10日の初公判に、車いすに乗って出廷した88歳の海野被告。起訴内容について「間違いないです」と認めました。

一方、71歳の松田被告は「盗みをする目的で運転はしましたが、侵入と盗みはしていません」と、海野被告との共謀を認めたものの、窃盗の実行犯であることは否認しました。

■服役中に親睦を深める
検察側の冒頭陳述などによりますと、海野被告(88)は福岡県で生まれ、小学校を卒業後、漁業を手伝っていましたが、その後職を転々とし、犯行時は無職で生活保護を受けていました。

松田被告(71)は、夕張市で生まれ、トラック運転手などをしていましたが、犯行時は無職で生活保護を受けていました。

海野被告には窃盗などの前科が17、松田被告も前科が18あったということです。

69歳の渡辺被告を含む3人は、服役していた札幌刑務所の同じ工場で仲を深めたといいます。

海野被告と松田被告は、その前に服役していた別の刑務所でも面識があったほか、松田被告と渡辺被告は、同じ高校の同窓生で、幼なじみでした。

■出所した翌月に再び、生活費に困り「こと(窃盗)をするので運転してくれないか」
3人は今年春までに、渡辺被告(69)、海野被告(88)、松田被告(71)の順番でそれぞれ出所します。そして4月には、3人のうち最後に出所した松田被告を、海野被告と渡辺被告が出迎えました。

松田被告の自宅に集まり“出所祝い”をし、海野被告は自分の名義で契約した携帯電話を松田被告に渡すなど、3人の親しい関係は服役後も続きました。

そんな3人が再び、盗みを始めたのは5月ごろ。

生活保護を受けていた海野被告(88)が食費などの生活費に困り、空き巣をやろうと考えたのがきっかけでした。

足が不自由だった海野被告(88)は松田被告(71)に電話で「こと(窃盗)をするので運転してくれないか」と依頼。

■実行役は海野被告、運転手役は松田被告、金品の保管は渡辺被告
松田被告は出所後に携帯電話を契約してくれた恩などから、海野被告の依頼を引き受け、渡辺被告(69)も盗んだ金品の保管などの役割を引き受けました。

5月に、出所してから7~8回ほど空き巣を繰り返していたという3人。

犯行現場へ送り届けるのは松田被告。

窓ガラスを割るなどして侵入し、金品を盗む実行役は海野被告。

そして渡辺被告は、盗んだ金品を保管するなどの役割を分担していました。

海野被告と松田被告は、江別市内の別の窃盗事件でも追起訴される見通しで、次回の裁判は来月3日に開かれます。

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