単に本を売るだけではなく、訪れる人たちに“体験”を提供する、全国でも珍しい書店が先週、札幌に誕生しました。
札幌市の“奥座敷”とも呼ばれる定山渓温泉です。
麻原衣桜記者
「ホテルの2階に来ています。エレベーターを降りると、たくさんの本が置かれており、進んだ先は書店となっています」
サウナ。温泉。絵本。北海道内の自然や動物まで…。
「定山渓第一寶亭留翆山亭」に今月19日にオープンした、その名も“風呂屋書店”です。
宿泊客はもちろん、入場料を支払えば、誰でも利用が可能で、約2500冊の本を読んだり、気に入ったものは購入することが出来ます。
麻原衣桜記者
「書店には、風呂屋ならではの“脱衣棚”が置かれており、なかを開けると、同じ頭文字のお薦めの本が置かれています」
書店には、同じフロアにある大浴場との雰囲気もマッチする風呂桶や脱衣棚があり、足を伸ばしてゆっくりと本を読める、個室も用意されています。
宿泊客
「ネットだと欲しいものを見に行かないといけないですけれど、こうやって本がたくさんあると、目に入ってきて選んだり出来るじゃないですか。そういった点で面白いなと思っていた」
8月末現在、マチに書店がない自治体は、全国の「27.9%」に対し、北海道は「41.6%」と書店の減少が進んでいます。
そんな中“風呂屋書店”は、偶然の出会いが体験できる場所として…、そして、定山渓唯一の書店として、大手印刷会社の支援で誕生しました。
宿泊客
「これから買ってきます。本が大好きなのでいいですよね」「温泉入りながら、こういうのも見られてしかも買えるのでいいと思います」
ホテルの最大滞在時間は「20時間」。
書店は、宿泊客に思い思いの有意義な時間を提供することができるのです。
定山渓第一寶亭留・翆山亭・大島彩乃さん
「まずは、ご宿泊のお客様にご滞在として、ご満足頂ければという風に思っていますし、日帰りのお客様も多いですので、お風呂と読書と合わせてお楽しみ頂ければ」
温泉に入ったあと、本を読んでやすらぎのひと時を過ごすことが出来る“風呂屋書店”。
新たな書店の形として、本と人を結び続けます。