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過去最多9人出馬で波乱と接戦の“自民党総裁選”「最後の戦い」と語っていた石破茂氏が制す 北海道選出の与野党議員の反応やマチの声は?石破新総裁の誕生で何が変わるのか?

北海道放送 2024年9月27日 22時56分

決選投票の末、自民党の新総裁が決まりました。

総裁選が行われた東京・永田町にある自民党本部前には、堀内大輝アナウンサーがいます。

【中継】
堀内大輝アナウンサー

1回目で得票数が上回っていた高市議員でしたが、決選投票での大逆転ということで石破議員が、自民党の新たな総裁となりました。

決戦投票前に行われた5分間のスピーチでは、石破議員は冷静に、淡々と語っていましたが、総裁に決まったときは立ち上がって笑顔で、拍手に応えていました。

一方、敗れた高市議員は、ほかの候補者や岸田総理と、穏やかな表情で握手を交わしていました。

混戦ムードの中、高市議員は1回目の議員票が72票だと読み上げられた時は、会場から「おぉ…」という小さなどよめきが漏れ、一方、新総裁となった石破議員の党員票が108票と読み上げられた時は、さらに「おおぉ」という大きな声が上がりました。

予想通り、展開が読めない総裁選となりました。「ここまでもつれることになるとは…」と漏らしながら、総裁選の会場をあとにする議員もいました。

あとは異例とも言える投票中の“スマートフォンの使用”を控えるように呼び掛けるアナウンスには、会場でもどよめきが起こっていました。

これは、投票先を相談させず、あくまでも個人の判断で決戦投票は、票を投じてください…ということを促すものでした。果たして、この“スマホ使用禁止令”が、今回の決戦投票にあたって、投票行動にどう影響したのかも気になるところです。

今回、自民党の裏金問題に端を発した総裁選だったわけですが、道内選出の議員、そして道民はどう受け止めたのでしょうか。

・中村裕之道連会長(高市氏支持)
「僕は高市氏をずっと応援してきましたので…。(石破新総裁は)5度目の正直ですから、長年の努力が報われたんだと思います。農林水産業に非常にたけている先生ですし、北の防衛とか鉄路の問題とか、さまざまな面でお世話になれる新総裁だと思っていますよ」

・伊東良孝衆院議員(石破氏支持)
「1回目も2回目も、もちろん(石破氏に)投票したんだけれど…、2回目の投票はどうかなと思ったけれど、何とかたくさんの皆さんの信任を得て、議員票も積み上がってよかったなと思っています。僕の地元の釧路にも何回も来てもらっていますし、そういう面で北海道のためにもよかったなと思っております」

自民党の裏金事件の渦中にいる道内選出議員は…。

・和田義明衆院議員(小林氏支持)
「党の対応をしっかりですね、重く受け止めながらですね、見守っていきたいと思っています。いつ選挙があったとしても戦えるように、準備を万端に整えていきたいと思います。これから食料、安全保障に魂を入れていかなければならないので、そこでの新総裁のリーダーシップに期待をしたいと思います」

道内の野党は、自民党の石破新総裁誕生について、どんな受け止めをしているのでしょうか。

・立憲民主党 逢坂誠二道連代表
「誰が総裁になろうとも、政治とカネの問題は変わらないと思います。人気はあっても手腕はどうなんだ、というところも問わなくてはいけないと思っています。選挙をやる前提として大事なのは、自分の内閣は何がしたいのか、どういうことを考えているのかを明確にして、それを掲げた上で、野党としっかり論戦することが、最低限必要だと思っています」

札幌中心部では、石破新総裁誕生を伝える新聞の号外も配られました。

(Q.石破氏が総裁になると思っていましたか?)
・札幌市民の女性(80代)
「大体そうなるとは思っていた」

(Q.石破新総裁誕生で自民党は変わると思いますか?)
・札幌市民の女性(20代)
「“お願いします”という感じです。期待するしかないですよね、決まった以上は…」

裏金事件に揺れた苫小牧のマチでは、総裁選の結果について、どう受け止めているのか。

・苫小牧市民の男性
「政権が長かったから、もっと真面目にやってほしい」

・苫小牧市民の女性
「もう最後だと思うので、きれいな政治をやってほしいですね」

・苫小牧市民の女性
「今までの自民党の裏金問題を本当に払拭してもらいたいです」

◇HBCの選挙解説 北海道文教大学の宮本融(みやもと・とおる)教授が見た自民党総裁選
・堀啓知キャスター
石破さんは、1回目の議員投票の得票数から、決戦投票では一気に票数が伸びました。

・北海道文教大学 宮本融教授
石破さんは議員に不人気だとか散々言われきたが、そんなに悪い人なのか?と、われわれは思うわけです。そのあたりを自民党の議員投票では、皆さん考えて投票したのでは…と思います。

小泉さんの人気で一気に決まるのではないかと、多くの人が考えたけれども意外に駄目だった。

高市さんの場合は“右”に振れ過ぎていて危ない…、そうした中で、石破さんが選ばれたのは安定感に落ち着いた結果ではないかと思います。

◇北海道民の反応…漁業、漁業、少子化
中国の禁輸措置や漁獲量の減少。数々の苦難と向き合う漁業関係者は…。

・つぶ漁師(釧路)
「資源管理だとか、養殖のほうには手厚くやって欲しいよね」

・釧路市場関係者
「いまの中国。輸出の関係もあるから、そういうのも外交ちゃんとやってもらいたいのも一つだし」

後継者不足に、肥料や農機具の高騰…農家は今の窮状を訴えます。

・畑作農家(中札内村)
「自分たちやっぱり苦しいワケです。コスト上がって来て、苦労しているところを広めてもらえたり、サポートしてもらえたとしたら、ありがたいな」

待ったなしの少子化問題。子育て中の母親は、岸田政権の“異次元の少子化対策”に疑問を呈します。

・1歳児の母親
「子どもが1人の人も多いから、3人目から手当とか、3人目からお金がかからなくなったりするのは、ちょっと違うのかな」

・1歳児の母親
「手当とかも、もちろんなんだけれど、ママが社会復帰しやすくなるような、新しいことに挑戦できるような」

日本の未来を担う大学生の願いも切実です。

・北海道大学の修士課程の学生
「私たちがいま年金を払っていて、税金を収めていて意味のある、将来バックされるような政策をしてほしい」

・北海道大学の修士課程の学生
「いまアルバイトの最低賃金で働いているので、最低賃金を上げてほしいです」

人口のおよそ3割を占める高齢者。聞こえてきたのは、政治に対する厳しい言葉です。

・70代男性
「誰がなったって良くなりません。選挙はまったく無関心です」

・80代男性
「けじめついてないと思います。金の出入りを明確にしていないことと、統一教会の問題とか」

生バンドの演奏でカラオケができる札幌ススキノのバー。景気回復には、まだ遠いと感じています。

・バー経営者
「コロナで一次会で終わるというのも増えてしまったのもあって、集客には苦慮している状況」
「札幌を活気づけてもらって、景気を復活させてもらえるようなリーダー」

老舗JAZZバーのオーナー。店を構えて40年、歴代のリーダーを見てきました。

・バー経営者(77)
「理想論を言っている間に何をやっているか。結果が出ることを。世界に出て行ったときにどれだけ通じるか、世界との折衝はいっぱいあるじゃないですか」

◇選択的夫婦別姓制度
・堀啓知キャスター
石破新総裁は、保守的な政治家の中で、たとえば“選択的夫婦別姓制度”については、前向きな考えを持っていると思えますが…。

・北海道文教大学 宮本融教授
自民党は政策だけ見ると、保守政党ではないです。少なくとも、社会政策や経済政策については、完全に社会民主主義の政党なんです。だから小泉純一郎総理のときは、新自由主義に何回か振っているんですけれど、基本的には社民主義なんです。

外交についてはタカ派で、憲法9条改正について言及するから、自民党は保守政党だ、タカ派だと言われますが、そもそも普通の国には(日本のような)憲法9条はないので、そうしたことを考えると、自民党が“保守”という定義は、そもそも難しいことになります。

しかも、公明党と組んでいるわけで、公明党の福祉と平和という政策に、自民党は寄ってくることになる…。だから立憲民主党や旧民主党もそうでしたが、自民党との戦い方に苦労することになるんですね。

◇立憲民主党 野田代表との向き合いは?
・堀啓知キャスター
その立憲民主党は野田さんが代表となりましたが、自民党の石破総裁との向き合い方はどうなりそうですか?

・北海道文教大学 宮本融教授
野田さんの場合、いわゆる“左側”とされる人たちの中には、護憲平和という考えの人たちが全体の15パーセント程度、固定客としているので、そちらへ寄っていく可能性があるわけです。

自民党は“右側”の岩盤保守に寄りかけていたんだけれど、石破さんで真ん中を取りに来たわけです。それは立憲民主党の野田さんが真ん中を取りに来ていることを考えれば、がっぷり四つの戦いになると思います。

◇宮本教授が注目する政策

・北海道文教大学 宮本融教授
防災省の創設は注目したいです。能登半島地震から9か月が経っても、まだ避難した人が体育館にいる状況は“この国、何やっているんだ!”ということになるし、地震に見舞われた台湾と比べても、あまりに酷い。積年の問題が解決されない、そうした問題を何とかしてもらいたいですね。

それから防衛財源の話もあって、やはり増税で痛みを感じながら、歳出もチェックしながらやらなくてはいけないんだけれども、日本はずっと戦わないという考えで押し切ってきたから、矛盾がすごく蓄積している問題なわけです。

そう考えると、石破“新総理”が手を付けなくてはいけない問題だと思います。

・堀啓知キャスター
“地方”という視点で、北海道から見た場合、石破さんの政策で気になる点はあるでしょうか?

・北海道文教大学 宮本融教授
日中関係とか、慎重な外交姿勢が必要なので、バランスの取れた外交を進めていくと、日本の農産物輸出が促進されて、北海道は自給率200パーセントを誇る地域ですから、高い値段で輸出されることは、北海道にとって非常に重要となっていきます。石破さんは、農政にも明るい政治家なのですから期待したい。

・堀啓知キャスター
石破さんは、過去に農水大臣も経験していましたし、地方創生大臣も長くやっていたので“地方創生”という視点で、石破さんへの機体はいかがでしょうか。

・北海道文教大学 宮本融教授
僕は通産省の出身で、同期が石破さんの下で働いていましたが、何ができたかというキーワードはないんですよね。地方自治体のアイデアを競わせるような、いろいろなこともやっているんですが、これと言って成功例が見当たらない。

一方で、農産物輸出は確実に成功しますから、期待しています。

・堀啓知キャスター
今回の総裁選に向けて、石破さんが出した政策の中で、DXやデジタル、あとスマート農林水産業を実現していくとしていますが、技術によって、中央と地方の格差を埋めるとも語っていますが、いかがでしょうか。

・北海道文教大学 宮本融教授
人手不足を埋めるのは、やはり技術ですから、非常に重要な話だと思います。

◇今後の政治日程
10月1日…臨時国会、首班指名選挙
4日…新総理の所信表明演説
7~9日…衆参両院で代表質問
9日以降…衆議院解散か

選挙のスケジュールとしては、次のような日程が予想されます。

最短で今月15日公示で、27日投開票
または今月29日公示で、11月10日投開票

・北海道文教大学 宮本融教授
石破さんは一方的な言い合いではなくて、ちゃんとした対話、議論をしたいと考えていると思います。そう言うことも踏まえると、衆議院解散、そして総選挙は少し遅れると思いますが、石破さんが何をやりたいかは相対的には明らかなので、ご祝儀相場的な解散、総選挙ということもあり得ない話ではないと思います。

・堀啓知キャスター
10月1日以降の新総裁としての石破さんの発言にも注目したいと思います。新総裁は、政治とカネの問題にどう向き合い、この国のかじ取りをしていくのでしょうか。

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