2022年、北海道の知床沖で観光船が沈没し、26人が死亡・行方不明になった事故で、運航会社の社長が業務上過失致死の罪で起訴されました。
船を操縦していない経営者が刑事責任を問われるのは、極めて異例です。
「知床遊覧船」社長の桂田精一被告(61)です。
2022年4月、運航管理者としての義務を怠り、観光船「KAZUⅠ」を知床沖で沈没させ乗客乗員を死亡させた疑いで10月に逮捕され、第1管区海上保安本部が調べを進めていました。
そして、勾留期限の10月9日、釧路地検は桂田被告を業務上過失致死の罪で起訴したと発表しました。
認否は明らかにしていません。
事故から約2年半、乗客の家族は…
乗客家族
「とりあえずひと段落して、ほっとした気持ちです。しかしながら、実際に望む判決が出るかどうかは別なので、引き続き見守っていきたいと思います」
船を操縦していなかった経営者が刑事責任を問われる極めて異例となった今回の起訴。
元裁判官の内田健太弁護士はこう見解を示します。
元裁判官 内田健太弁護士
「業務上過失致死で有罪判決が立証できるという、検察側の覚悟あるいは自信の表れだと思う。」
「(検察としては)当日、本来会社の運航基準によれば、そもそも運航させるべきじゃなかったのに、条件付きとはいえ運航させた判断が『間違っていた』というのが一番のポイント」
起訴を受け桂田被告は、弁護人を通じてコメントを出しました。
桂田精一被告(61)
「多くの乗客の方、船員に犠牲を生じさせてしまったこと、また依然として行方不明の方々もおられることについては、法人代表者としてこれからも、謝罪と償いを続けていく所存です」
桂田被告の弁護人は、10月9日、裁判所に保釈請求を行いました。
事故をめぐっては、死亡した船長(当時54)も業務上過失致死などの疑いで書類送検されていましたが、釧路地検は9日、死亡を理由に不起訴処分としました。