小児がんと闘っているこどもたちのために、小学３年生の男の子が行動を起こしました。「レモネードスタンドで集めたお金を寄付したい」懸命に取り組んできた子どもたちの姿に密着です。
札幌市中央区の山鼻地区。診察がない日曜日にもかかわらず、診療所に人が集まってきます。
開かれていたのは「文化祭」です。地域の人たちが趣味や特技を披露します。
その中に、人だかりができているブースを見つけました。
受付の小学生
「いらっしゃいませ、レモネードいかがですか？」
小学生たちが作る「レモネードスタンド」。
「27番のお客様～！」
企画した小学３年生の青木瑛都（えいと）くん。将来の夢は「誰かのために」を大切にした会社の経営者です。
青木瑛都くん（９）
「札幌南高校の学校祭でレモネードスタンドを見て、おもしろいなと思って始めた」
「レモネードスタンド」は、アメリカで小児がんで死亡した女の子が生前、同じ病気の子どもを助けたいとレモネードを販売し、そのお金を寄付するという世界に広がった取り組みです。
「56番の方～！」
この日のスタッフは、瑛都くんが所属していた劇団の仲間のほか、診療所が依頼した、札幌南高校のボランティアの学生も参加しました。
目標は「200杯」。瑛都くんは「客の呼び込み」や「列の整理」を担当します。
瑛都くん
「今、110番！ヤーミー！楽しい！」
瑛都くんたちが、準備を始めたのは、2024年の夏休み。
診療所に直接電話をしてアポを取り、手づくりの企画書を手に打ち合わせを重ねてきました。
瑛都くん
「こっちのほうが寄付する金額はいっぱいできます」
ファミリークリニックさっぽろ山鼻 松田諭院長
「うんうん」
松田医師
「意識を持ってみんなで関わることで、このようにつながりができていたと思うが、そういう人たちが増えたら最高の予防医療になる。ぜひ（レモネードスタンドを）やってもらえたらうれしい」
目標の募金額は30万円。そのために、販売価格をいくらにするか？また、原価をいくらに抑えなければならないのか？相談相手は、塾の先生です。
冬野恒史塾長
「物の価値を高めて、値段を上げて、それで利益をたくさん増やそうという計画だよね」
瑛都くん
「１杯のもうけ100円を、100×140杯＝１万4,000円が、１回の儲け」
まだ習っていない３ケタの「かけ算」や「割り算」の計算も出てきましたが、あきらめずに「値段」や「開催回数」を計算し、計画を練り上げてきました。
また、タブレットを片手に、告知用動画の制作にも動き出した姿に、メンバーのお母さんの目に、光るものが…。
その後、自分たちで撮影し、動画が完成しました。
2024年、夏休みのすべてをレモネードスタンドの準備に費やした瑛都くん。
夢中になる理由には、幼い頃の記憶があります。
瑛都くん
「幼稚園の頃、バス停まで小学生の男の子たちと行っていたけど、急にいなくなった、１人が。」
幼稚園の頃、キャッチボールの相手をしてくれた近所の小学生の男の子が、その後、小児がんの一種＝「悪性リンパ腫」だったことを知ったのです。
瑛都くん
「つらい。ちょっとの気持ちでもつらくなったりしちゃう。小児がんの子たちのために、高齢者の方のために、病気の方のために、いろんなことを支えていければなと思っています」
女性客
「２つください」
再び、文化祭のレモネードスタンドです。瑛都くんが、レモネードの宣伝にやって来ました。
瑛都くんと客
「全部で７個」
「ありがとうございます」
なんと７個も注文が…！急いで受付に伝えにいきます。
瑛都くんと客
「買われた商品を持ってきました」
「おいしい！」
「ありがとうございます」
目標であった200杯を売ることができ、レモネードは完売しました。
客
「これを機会に小児がんがどんなものかもっと広まるといい」
青木瑛都くんの母 奈々葉さん（40）
「思うとおりにいかないこともいっぱいあったはずなので、いろんな感情がむき出しになっていました。開催してくれてありがとうとか、声が届くたびに達成感があったようなので、困難はつらいものじゃなかったんじゃないかなと」
瑛都くん
「次の目標は300！いや250。おなかも10じゃなくて８まででしょ、だから300までいきたいけどちょっと下の250で」
「困っている人を助けたい」。瑛都くんは「行動する大切さ」を私たちに教えてくれます。
今回のレモネードスタンドでは、目標は200杯でしたが328杯のレモネードが売れました。
収益は８万1477円でした。
小学生たちのレモネードスタンドですが、次回は10月12日（土）・13日（日）の２日間、北海道武蔵女子大学、短期大学（北区北22条西13）で開催されます。