5年前、北海道南部の道立江差高等看護学院に通う男子学生が複数の教員からパワーハラスメントを受けて自殺したとして、学生の母親が北海道に対し損害賠償を求めている裁判の初弁論が開かれました。
この裁判は、2019年、道立江差高等看護学院に通っていた男子学生が教員によるパワハラが原因で自殺したとして、男子学生の母親が学校の設置者である北海道に対し、約9500万円の損害賠償を求めているものです。
訴状などによりますと、男子学生はレポートの提出が1分遅れただけで留年させられたり、実習の指導を拒絶されたりするなど複数の教員からパワハラを受けていました。
北海道の第三者委員会は、教員3人によるパワハラが自殺につながったとする調査報告をまとめ、去年5月、北海道は男子学生の母親に謝罪しています。
しかし、その後、損害賠償の協議が進む中で、北海道は自殺とパワハラとの因果関係は認められず賠償には応じられないと遺族側に回答していました。
29日行われた初弁論で、男子学生の母親は「北海道が息子の自殺が教員のパワハラが原因であると認めない限り、息子の無念は決して晴れません」と意見を述べました。
母親の代理人によりますと、北海道側の代理人は出廷せず、事前に提出した答弁書で全面的に請求の棄却を求めているということです。
初弁論のあとに開かれた会見で母親は…。
自殺した男子学生の母親
「本人がいればもしかしたら言い方は悪いが、泣き寝入りで終わるということも考えられるので。息子は帰ってこないので、どうやっても。だからこそ、きちんと人の命が奪われたことは認めてもらわないと本当に報われない。必ず認めてもらいたい」
次回公判は12月24日に開かれます。