男子大学生が集団で暴行され、死亡した事件。
交際相手を含む男女6人が逮捕されるという、衝撃的な事件の背景に潜むものとは…。
被害男性と交際関係にあった八木原亜麻容疑者。事件の夜を迎える直前、知人にこう問いかけました。
八木原亜麻容疑者(20)
「彼氏に1年後、別れたいって言われたら、あなただったらどうする?」
北海道江別市の公園で、大学生の長谷知哉さん(20)に暴行を加え、死亡させたとする今回の事件。
八木原容疑者と、その友人の川村葉音容疑者(20)、そして16歳から18歳までの4人の、計6人が逮捕されました。
八木原容疑者はこれまでの調べに「交際関係をめぐりトラブルになった」という趣旨の供述をし、警察も別れ話のもつれがあったとみて捜査しています。
八木原容疑者は事件前、知人だけでなく川村容疑者にもこう伝えていたといいます。
八木原容疑者
「別れ話になっている」
25日午後10時すぎ、長谷さんは八木原容疑者の自宅を訪れ、2人で公園へ。
その約1時間後には、川村容疑者を含む5人と合流。そして、事件は起きました。
背景に何があったのか。
捜査関係者によりますと、長谷さんから八木原容疑者に対し、就職活動に伴って交際関係に期限を示すような「別れ話」をしたということです。
八木原容疑者と川村容疑者をよく知る地元の友人は。
容疑者2人の友人
「亜麻(八木原容疑者)については、どちらかというと彼氏と交際していてけんかになって、電話した時にすごい怒ってるなって。強い口調になっているなというのを見たりしていた」
川村容疑者については。
容疑者2人の友人
「友達に何かあったら許せないからって。友達のためなら手を出しちゃうって感じで。やれるだけやっちゃう、葉音(川村容疑者)はそういうタイプ」
捜査関係者によりますと、川村容疑者は「八木原容疑者に対し、長谷さんに謝ってもらおうと思っていた」という趣旨の供述をしていることもわかりました。
犯行に加わったとみられる川村容疑者ですが、一方で逮捕前には、こんなことを語っていたといいます。
容疑者2人の友人
「(川村容疑者から逮捕前に)泣きながらラインで電話がきたらしくて、『自分はあまり暴力を加えていなくてただ見ていただけ』みたいな」
また、現場からなくなっていた長谷さんの所持品の一部とみられるものも発見され、警察は容疑者の自宅を家宅捜索するなどして、残りの所持品がないかも調べています。
10月25日から26日、江別の公園で大学生が暴行されて死亡した事件。
男女6人が逮捕されるなど特異性が際立っています。
今回の事件で、逮捕された容疑者のうち4人が10代でした。
そこで、若者の犯罪心理に詳しい犯罪心理学者の出口保行さんに事件の特徴について聞きました。
出口さんは、今回の事件のキーワードは2つだと話しています。
まずは「集団心理」です。
いじめと似ていますが、この手の集団暴行事件で首謀者、つまり動機を持っている人間は1もしくは2人。全員ではないといいます。
他の人は、「周りがやっているから」、「自分に矛先が向かって来たら怖いから」と、保身のために流されて犯行に及ぶ可能性があるそうです。
そしてキーワード2つ目は「ほぼノープラン」。
長谷さんは全裸で放置され、所持品もなくなっていました。
無計画さと、とっさの隠ぺいが伺え、行動とその結果がうまく結びつかない、少年特有の「想像力の乏しさ」が特徴的だと指摘しています。