大国の政権の行方は、北海道に住む私たちにどう影響するのでしょうか。
共和党 トランプ前大統領
「第47代大統領に選ばれた栄誉に感謝したい。われわれはアメリカを再び偉大な国にできる」
アメリカ大統領選で当選を確実とした、トランプ前大統領。集まった支持者を前に、高らかに勝利を宣言しました。
トランプ氏が大統領に返り咲くのは4年ぶり。
2017年からの在任中には、環太平洋パートナーシップ協定=TPPからの離脱を早々に打ち出しました。
さらには…
トランプ大統領(当時)
「これは私の考えだが東京五輪は、1年間延期した方がいいかもしれない。観客なしで開催するよりもいい選択肢だ」
新型コロナの感染拡大を受け、東京オリンピックの開催延期に言及したのも、トランプ氏でした。
アメリカ第一主義を掲げ、再び大統領に返り咲くトランプ氏。北海道民の暮らしにどんな影響があるのでしょうか。
アメリカ大統領選から一夜明け、マチの人は…。
女子大学生(20代)
「(アメリカからの)食やファッションが安くなったら消費者にとってはいい」
販売業の男性(40代)
「円安は不安。総菜販売をしているので、原料高騰とかあおりを受けている」
中国出身の男性(20代)
「中国に対する税金(関税)が高くなり、世界中の経済への影響が心配になる」
無職の男性(80代)
「戦争を終結させる、穏やかにするには、動物的本能の強さがあるトランプ氏のほうがおさめると」
トランプ氏の返り咲きに様々な反応がある中、日本総合研究所のレポートでは、トランプ氏が再選した場合、経済政策をめぐる思惑から、大幅な円安が進むおそれがあるとみています。
北海道の「食」の現場では、不安の声が上がっています。
十勝地方の士幌町で酪農を営む川口さんは円安による飼料高騰を危惧しています。
酪農業 川口太一さん
「(円安で)餌も含めて、2倍近い値段の跳ね上がり。2年前、110何円でしたからね。.これから比べると、すべてが倍になっている。日本の畜産がやっていけるように(日本政府には)政策を練っていただくしかない」
一方、期待の声も。北海道旭川市のラーメン店、梅光軒です。
ことし2月、新たにアメリカ・サンディエゴに店を出しました。法人税の軽減など、トランプ政権での税制改革を望む経営者も多かったと言います。
梅光軒 井上雅之代表
「共和党は経営者ファースト。経営者側にとってプラスになるような政策を、打ってくれることに期待したい」
その反面、トランプ政権ならではの心配もあるそうです。
梅光軒 井上雅之代表
「『移民を一掃する』なんていう話も、トランプ氏が言ってしまうものだから、われわれアメリカ国内で商売してる人間としては、(自分たちの商売)が阻害されるのかなという不安感がある」
「アメリカ第一主義」を掲げるトランプ氏。一方で、国際政治学に詳しい北海道文教大学の宮本融教授はアメリカが、日本の農作物に、すぐに関税をかけることはないと分析します。
北海道文教大学(国際政治学) 宮本融教授
「酪農の飼料用穀物をアメリカから大量に買っているが、そういうものはアメリカがもうかる話。われわれがアメリカに輸出しているものがあるが、水産物などはアメリカ人が得をするものなので、中国と同じように課税するということには当面ならない」
また、気になる「円安」については、今後、アメリカ国内の金利が下がることで、是正されると予想します。
北海道文教大学(国際政治学) 宮本融教授
「トランプ氏は金利を下げるほうに動くので、日米の金利差が縮まり円安が是正される可能性はある。円高のほうが輸入飼料は安くなるので、それは北海道の農業的には、いいことが多い」
トランプ氏のこれまでの主張をまとめました。
【経済】すべての輸入品に10%から20%の関税をかけること
【エネルギー】化石燃料を増産する方針。EV=電気自動車の推進には慎重な立場
【外交】ウクライナ支援には消極的。北朝鮮については「核兵器を持っている人と仲良くするのはいいこと」という発言
トランプ氏のこうした方針は、北海道にどう影響してくるのでしょうか。
国際政治学に詳しい北海道文教大学の宮本融教授は
【エネルギーや環境問題】
アメリカ国内でも、GXを進める州や、再生可能エネルギーなどに投資する企業があるので、道などが直接、関係を構築することが重要。トランプ氏が興味を示した時の準備を進めるべき。
【外交】(特にロシア関係)
日本とロシアが近づくことをトランプ氏は歓迎しないので、北方領土や漁業問題の進展は期待できないのでは。