北海道江別市で男子大学生が集団暴行を受けて死亡した事件。逮捕された男女6人は、どんな罪に問われるのでしょうか。
■逮捕された男女6人の勾留期限
堀内大輝アナウンサー
「事件から3週間。木々の葉っぱはすっかり落ちました。現場の公園です。こちらには多くの花、そして飲み物が供えられています」
10月、江別市の公園で男子大学生の長谷知哉さん20歳が、集団暴行を受けて死亡した事件。
交際相手の八木原亜麻容疑者20歳と、友人の川村葉音容疑者20歳。少年を含む、男女あわせて6人がすでに逮捕・送検されています。
八木原容疑者の勾留期限は、11月16日まで。ほかの5人も週明けに勾留期限を迎えます。
懲役3年以上の「傷害致死」か、それとも、より罪の重い「強盗致死」か。どのような罪に問われるのか、検察の判断が注目されます。
■明らかになってきた男女6人の足取り
亡くなった長谷さんが全裸で発見される、およそ11時間前の10月25日午後8時前。
川村容疑者が運転しているとみられる車が、18歳の男が住む、札幌市内の自宅付近の防犯カメラに映っていました。このあと、車で江別市に向かったとみられます。
一方の死亡した長谷さんは、午後10時すぎ。交際相手の八木原容疑者の自宅を訪れました。その1時間後…。
堀内大輝アナウンサー
「午後11時ごろ、現場から500メートルほど離れた川村容疑者の家の近くの防犯カメラには、長谷さんと八木原容疑者2人の姿が映っていました。その後、別の容疑者らと合流して事件があった公園へと向かいました」
そして、長谷さんは集団暴行を受けることになります。
その後、午前1時半ごろには、国道沿いの防犯カメラに、容疑者らが乗ったとみられる車が札幌中心部方向に走っていく様子が映っていました。
■死亡した長谷さんのカードで現金を引き出す
金子将也記者
「コンビニの防犯カメラには、川村容疑者と男らがATMで現金を下ろす様子が映っていました。全員フードを被った状態で、3分ほど滞在していたということです」
八木原容疑者以外の5人は、犯行後の午前2時前、長谷さんのキャッシュカードを使って、コンビニエンスストアのATMから現金10数万円を引き出していました。
さらに八木原容疑者と川村容疑者は、クレジットカードで買い物をしていたこともわかっています。
そして午前2時すぎ。車は再び江別方面へ。現場の公園に戻ったのでしょうか。付近の住民は…。
■容疑者を知る人「全裸にさせることが趣味だった」
近所の人
「女の人がワーってどなった。夜中2時半すぎに聞こえた。それで目が覚めた」
札幌市内の川からは、長谷さんのものとみられる衣類の一部やリュックが見つかっています。
交際トラブルから執拗な集団暴行にエスカレートした今回の事件。逮捕された18歳の男の同級生は、取材にこう話します。
男(18)の同級生
「問題児ですね。結構(先生に)反抗とかして、 暴力が多かった。けんかした相手を全裸にさせることが趣味だった」
18歳の男2人と16歳の少年については、長谷さんと面識はなかったとみられています。
事件の背景に何があったのか。全容解明に向けた捜査が進められています。
■6人が問われる罪
男女6人は、まもなく勾留満期を迎えます。
最初に逮捕・送検された八木原容疑者は11月16日、ほかの5人も18日と19日に満期を迎えます。
6人の送検時の容疑は「傷害致死」。これは相手を暴行するなどしてけがをさせた結果、故意でなく死亡させた、というもので、法定刑は【3年以上の有期懲役】です。
しかし、その後の調べで、6人が長谷さんのカードで買い物をしたり、現金を引き出したりしたことがわかっています。
もし、カードを奪って暴行して死なせたとして「強盗致死罪」で起訴された場合には、法定刑は【無期懲役】または【死刑】です。
この違いを、元検察官の中村浩士弁護士に聞きました。
中村浩士弁護士(元検察官)
「傷害致死は、暴行を加えた結果、死亡させた場合、その死の結果に対して故意、意図的でない場合にも成立する罪。強盗致死は、金品を奪う目的で暴行を加えた結果、被害者が亡くなった場合に成立する。本人たちの内心の意図で罪が変わってくる。本人や共犯者の供述、スマホやSNS履歴などと照らし合わせながら、当時の内心をどう立証できるかがポイント」