過疎のマチで異色の経歴を持つ住職が企画した「大人の寺子屋」が思わぬ人気です。
北海道空知の浦臼町にある金剛寺です。住職の米田弘教さんがこの日、寺で開いた法話のテーマは…。
金剛寺 米田弘教住職(45)
「どうやって価格のイメージをつかむのか、日本株100%の商品だったら『日経平均株価』や『東証株価指数』」
仏教のこと…ではなく「資産運用」のこと。実はこちら、初心者向けの講座「金融基礎のてらこや」です。
住職になる前は、大手証券会社に12年勤務した元金融マンの米田さん。個人向けの資産運用のコンサルティングを担当していました。
10年前に退職、ふるさとの浦臼町に戻り、実家の寺を継ぎました。
金剛寺 米田弘教住職(45)
「町もどんどん過疎化して、廃れている印象が強くて、あと10年たって、現状維持のまま(寺を)やって、どうなのかなと心配があった」
少子高齢化が著しい地域では「墓終い」や「寺離れ」が進み、寺や僧侶の活動の場は減りつつあります。
『寺をもっと身近に感じてほしい』ファイナンシャルプランナーの資格を持つ米田さんは、ここ数年広がりを見せる個人投資ブームに着目。金融について学ぶ機会が少ない地方の住民向けに「金融てらこや」を開きました。
金剛寺 米田弘教住職(45)
「株式や債券に投資して、プロが運用する商品を「投資信託」という。個人ではと言う死できない有価証券に投資が可能というのも非常に大きな特徴」
「てらこや」は、金融の基礎知識から本格的な投資戦略まで全部で5回。300円ですべての回に参加でき、分かりやすさもあって檀家ではない人も寺を訪れるようになりました。
参加者
「住職だったのか?と思うくらい、金融知識が豊富で驚いている。寺に来やすくなった」
「素人にも分かりやすく伝えてもらっている。檀家であっても、なかなか足が向かない所に気軽に来れる点はとてもいいこと」
一方で、投資は株価の変動や世界情勢の変化で「元本割れ」などの思わぬリスクが伴います。
米田さんは、お金を儲けるテクニックではなく、初心者が陥りやすいリスクを伝えることを心がけています。
金剛寺 米田弘教住職(45)
「『少欲知足』ではないですけど欲張りすぎない方が逆に本当は自分にとっても、他の皆さんにとっても良い。(寺が)心のより所になれる場所になればいい」
楽しく学んで、暮らしを豊かに。誰でも気軽に相談できる寺子屋を目指します。