岡田純 記者
「あちらが、今回の実証運航で使うヘリコプターです。乗客は最大9人が乗れるということです」
帯広空港を飛び立ったヘリコプター。
空港からの二次交通、つまり、バスやレンタカーのような移動手段としてヘリコプターが活用できるのかを確かめる実証運航です。
搭乗客
「ふだんあまり見られない景色が空から見れるので、非常に楽しめました」
「これ(ヘリ)があると、やっぱり北海道東部にとってはメリットになるのでは」
ヘリコプターで広い道内を巡る『新たな観光のカタチ』は生まれるのでしょうか。
11月28日までの3日間、実証運航を行ったのは、道内7空港を運営する北海道エアポートや、千歳市などで作る検討委員会です。
二次交通としてのヘリコプターの事業性を検証するため、道内の3つの空港を拠点に、モデルコースを設定。
観光業界の関係者や一般客に、実際に搭乗してもらいます。
28日は新千歳空港を出発し、北海道千歳市の支笏湖上空などを経由して、羊蹄山をのぞむニセコのヘリポートに降り立ちました。
さらにニセコから小樽経由で札幌丘珠空港へ。
車では2時間を超える道のりですが、ヘリコプターなら約45分で移動できます。
一般募集で搭乗 森淳さん
「もっと揺れてうるさいと思ったけど、意外と静かで、もちろん速いので、快適に過ごすことができました」
ヘリコプターで丘珠空港に入れば、札幌の中心部に近く、道内各地の空港にも、旅客機に乗り換えて向かうことができます。
また、外国人観光客が増加する中で、“富裕層”が高額なヘリコプターを利用することが想定されます。
札幌市 空港活用推進室 小澤宏亘 空港担当課長
「丘珠空港にビジネスジェットで来たいという利用客は一定程度いる」
「(滑走路は短いが)小さなビジネスジェットであれば、受け入れは可能なので、引き合いは確実に増えているような気はする」
二次交通としてヘリコプターを備えることで、丘珠空港の利用が拡大する可能性があります。
一方、北海道東部など地方のリゾート地もヘリコプターに期待を寄せています。
27日、帯広でも行われた『実証運航』には、サホロと富良野のリゾートの総支配人も搭乗しました。
十勝サホロリゾート・富良野リゾート・オリカ 安田昌行総支配人
「帯広空港から、われわれの例えばスキー場や、ゴルフ場など含めて、こういったリゾート地に(客をヘリで)移送する」
「コロナ前は中国の客や富裕層から、こういう(ヘリの)リクエストもあったので、実際に活用できれば、そういったニーズに応えられる」
帯広空港から向かったのは、新得町のサホロリゾート。
しかし!!天候不良のため、リゾートに降りることができず「遊覧飛行」だけで戻ることに…。
実は、全6便の内、予定通りにコースを飛べたのは、半分の3便だけでした。
検討委員会事務局 北海道エアポート 阪口玲麿課長
「ヘリコプターを使うと、自然をダイナミックに体験できるということもあるが、逆に自然のあおりも受けやすいと思っていますので、やっぱり天候っていうのは課題になる」
その一方、道央に集中する観光客を、『道内全域』に広げるためには、ヘリコプターは有効な手段だと感じています。
検討委員会事務局 北海道エアポート 阪口玲麿課長
「北海道の本当の観光資源があるような、その周辺部には足(交通手段)がないのも事実。行きたい人を(短時間で)連れて行くという意味でヘリコプターの実証は価値があった」
しかし、ヘリコプター運行には課題もあります。
今回実証実験を行った検討委員会の田中稔大委員長によりますと…。
・1人11万円以上の料金
・天候に左右される
・ヘリポートなどの施設整備
などが課題として挙げられるということです。
ビジネスジェットも入ってくる見込みとのことで、ヘリコプターとうまく組み合わせて活用できるか。今後の二次交通に注目です。