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路線バス減便と値上げにあえぐ利用者「不便、困る」バス会社は運転手確保に完全週休2日制“即戦力”の退職自衛官に熱視線

北海道放送 2024年12月2日 21時11分

路線バスの減便に歯止めがかかりません。札幌市で1日実施された、路線バスの減便や値上げ…。生活の足の危機に、いま何が必要なのか、もうひとホリします。

利用者
「いや~、ちょっと不便。困る」
「値上がりとなると学生からしたら、ちょっと厳しいかな…」

しかし、事業を担う企業にとっては、苦渋の決断です。

北海道バス協会 今武常務理事
「もう借金しないと、もたないような状況になっていて」

1日から、札幌市内を走るバスの運賃が、均一区間で30円値上げされました。加えて、札幌圏の平日の路線バスのうち北海道中央バスは104便を、JR北海道バスは136便、じょうてつバスも40便を減便しました。

いずれも「利用者の少ない時間帯」が中心だといいますが、利用者は…

利用者
「減るのは困る。やっぱり習い事や、買い物は多いし」
「いつもどおりの時間に着けないことが、増えてしまうかもしれない」

相次ぐ減便や路線の廃止。背景にあるのは、深刻な「運転手不足」です。

30日、札幌市で行われたバス運転手の就職説明会。北海道内のバス会社、20社以上が集まり、働く環境や待遇などを説明していました。

札幌から 来場者(30代)
「大型二種(免許)を持っているから、(バス業界が)深刻な状態なので、返せればなと」

大阪から 来場者(50代)
「元バスの運転手だったので、移住しようかと思って。いい感じで迎えてもらえそうな雰囲気はあったので検討したい」

北海道バス協会の調査によりますと、北海道内だけで、およそ500人のバス運転手が不足しています。早朝・深夜の不規則な勤務もあり、なかなか人が集まらないといいます。

北海道バス協会 今武常務理事
「運転手が少なくなると減便になる、収入が減る。この悪循環になっていくので、バスが無くなったらということを利用する側も考えていただきたい」

バス運転手などの時間外労働の上限が規制される「2024年問題」もあり、運転手の不足は全国的な問題で、どうやって北海道に人を呼び込むか、バス会社も試行錯誤しています。

十勝バス 経営管理部 本間雅崇次長
「今は全国から東京に出向いたり、こういった札幌の会場に来てみたりと多くの地域から呼び込むというのが急務だと」

北海道帯広市に本社を置く「十勝バス」です。ことし4月から完全週休2日制を始め、年間休日数を増やすなど新たな雇用につなげたい考えです。

札幌市の説明会と同じ日、「十勝バス」が参加したのは、帯広市で開かれた、退職する自衛官向けの合同説明会です。自衛官の多くは大型免許をすでに取得していて、バス業界からは熱い視線が送られています。

指導員
「本当に慣れてしまえば、もう全然問題ないので。即戦力!!」

参加した自衛官
「人手不足なので、車の運転手か何かでちょっとでも役に立てれば」

十勝バス 長沢敏彦取締役
「皆さん運転も非常に上手だし、本当に短期間の教育で実践に出られることでは期待している」

運転手を増やすだけではない新たな取り組みも始まりました。

馬場佑里香記者
「高速バスとして使われている車両に利用客が乗り込んでいます」

2日から北海道中央バスが、試験的に始めた取り組みです。車庫からターミナルへ移動する高速バスの回送車両を路線バスの「増便」として運行します。減便による朝の通勤・通学の混雑緩和が狙いです。

利用者
「いつも高校生でいっぱいなので、乗れないことが多いので非常に助かる。朝ゆったり座れるのでうれしい」

バスは、札幌市東区の下水道科学館前から16か所の停留所を通り、およそ6キロ南の札幌ターミナルへ。到着後は、通常通りの高速バスとして運行します。

公共交通をなくさないため札幌市で実証実験が始まっています。乗客からの予約を受けて運行する「デマンドバス」です。

・手稲区内を走る「ちょいソコテイネ」
手稲区内の47停留所・運賃350円・来年4月に正式運用開始です。利用者は徐々に増えていますが、運用費がおよそ1680万円なのに対し、運賃収入が144万円ほどにとどまっているため委託先への負担費用を減らすような契約に見直し、持続的な運営を目指していくということです。

・清田区にある7つの病院をつなぐ「きよっちメディカルバス」は、通院の患者などを、病院から病院に無料で送迎しています。試験運用は、来年1月で一旦終了となります。ただ、病院と病院をつなぐだけの運行では、利用者数が増えなかったため、今後は公共施設も含めたルートでより利用しやすい形で運行を再開したいとしています。

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