2022年4月、北海道知床半島沖で起きた観光船沈没事故の乗客家族らが、運航会社と社長に損害賠償を求めた裁判で、被告側は社長個人の責任を否定し、請求の棄却を求める答弁書を札幌地裁に提出していたことがわかりました。
この裁判は、沈没した観光船「KAZUⅠ」の乗客の家族=29人が運航会社「知床遊覧船」と桂田精一社長(61)に対して、およそ15億円の損害賠償を求めています。
原告代理人の弁護士によりますと、被告側は、先月29日に請求の棄却を求める答弁書を札幌地裁に提出。
この中で、会社の賠償責任は一部認めたものの、桂田社長個人の責任は「海が荒れたら引き返す条件付き運航の趣旨に従って適切に運航すれば、事故は回避可能だった」と責任を否定する主張をしています。
また、原告が引用した国の運輸安全委員会の最終報告書は、「事故の責任の所在を明らかにする目的で作成されたものではない」として裁判で証拠採用すべきではないとしています。
そして、損害賠償額についても「妥当ではない」として争う方針です。