北海道札幌市の「宿泊税」導入の条例案が12月11日の市議会本会議で可決・成立しました。
しかし、宿泊業の現場からは戸惑いの声があがっています。
11日午後から開かれた札幌市議会の本会議。市が導入を目指す「宿泊税」をめぐり意見が報告されました。
札幌市議会 財政市民委員会 漆原直子委員長
「制度周知について、先行導入した自治体と同様に、事務説明会を開催する必要があると考えるが、どのように進めていくのか」
議員からは、「宿泊税の使途が示されない中、条例を制定するのは拙速」などの意見が挙がったものの、条例案は賛成多数で可決されました。
可決された条例案では、1人1泊あたり、宿泊料が5万円未満で200円、5万円以上で500円を徴収します。
年間約27億5000万円の税収が見込まれ、観光地の利便性の向上などに使われる方針です。
ただ、宿泊客から徴収する現場は不安を抱えています。
民泊を運営する エフエー 天内和幸社長
「9割方外国人旅行者に利用していただいている状況」
札幌で「民泊」を運営するこの会社では、「宿泊税」が導入された後、その分を宿泊料に転嫁するか、決めかねています。
株式会社エフエー 天内和幸社長
「いち宿泊施設に対しての平等感みたいなものが、現状の宿泊税の仕組みで担保できるのかなというような思いはある。本当の意味で観光振興につながる使い方をしてもらいたい」
「宿泊税」をめぐっては、北海道も2026年からの導入を目指しています。
しかし、道議会では、先行導入している倶知安町との調整が混乱を招いたことや、ほかの自治体への配慮に欠けるなどの意見があり、本格的な議論は12日の本会議に持ち越されました。
札幌市や道は、条例の施行後、5年ごとの見直しを検討するとしていますが、市民の意見が反映されるのか見守る必要がありそうです。
札幌市が事前に市民に対して行なったパブリックコメントでは、賛成・反対それぞれの意見が上がっています。
賛成派の声
「オーバーツーリズムなどの対策を講じるうえでも新たな税収が必要」
「地域発展や観光振興に寄与するポジティブな施策」
反対派の声
「市内居住者・日本人・外国人で税率に差を設けることはできないか」
「観光目的ではない宿泊者は免税すべき」
これら反対派の意見に対して、いずれも札幌市は「適当ではない」などと回答しています。