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脱毛サロン「アリシアクリニック」破産の影響…女性従業員が語った“破産の予感”返金はどうなる?利用客ら9万人以上が被害

北海道放送 2024年12月12日 20時26分

札幌市の医療脱毛サロンの看板に貼リ出された、破産を知らせる1枚の告示書。

このクリニックを経営する医療法人「美実会」と、一般社団法人「八桜会」の2社が10日、東京地裁から破産手続きの開始決定を受けました。

「これからどうしたらいいかもわからないし、本当に憤りを感じています…」

こう話すのは、全国展開する医療脱毛サロン「アリシアクリニック」の札幌市の店舗で働いていた20代の女性看護師です。

アリシアクリニックの看護師
「10日の出勤時に、『破産手続き開始しました。本日付けで全従業員解雇いたします』と聞かされました。謝罪の言葉は一切なかったです」

「アリシアクリニック」では札幌市の店舗をはじめ、全国の44店舗で働くすべての従業員がこの日、一斉に解雇されました。

アリシアクリニックの看護師
「想定していたよりも早く、解雇を言い渡されてしまいました。本当に従業員もびっくりしている」

女性看護師は12月初旬、店舗の責任者から「15日までに倒産するか、しないかが決まる」という話を聞いていました。

そして、破産前には本部から運営に関する指示があり、「本当に破産するかもしれない」という予感がしたといいます。

アリシアクリニックの看護師
「以前は『追加でコースをやらないか』という声掛けを患者様にしていました。ですが、そういった声掛けも『一切するな』と言われたので、おかしいなとは思ってた」

新規カウンセリングの受け入れも中止に。その理由は“システム障害”と聞いていたそうですが、カルテなどのシステムは通常通り使用できていました。

アリシアクリニックの看護師
「新しく担当する機械の研修とかも受けていて、勉強もしていたのでショックです…」

突然の解雇の動揺する同僚たちを前に、女性看護師は見通しがつかない今後の生活について不安が募っていきました。

11月分の給料はすでに支払われていましたが、12月分の給料は支払われていません。従業員たちの今月の収入はゼロです。

アリシアクリニックの看護師
「1ヵ月分の働いた給料が出ないというのは、絶対におかしいことだと思うし、急に仕事がなくなって今月分の給料がでませんと言われてもどうにもできません…」

未払いの給料はどうなるのか。会社の対応についても、話があったといいます。

アリシアクリニックの看護師
「『立て替え払い制度を申し込んでいただければ』みたいな話はされたんですけど、入社半年未満だと多分適用されないらしくて、救済措置に当てはまらないスタッフに対しての話はありませんでした」

現場が混乱している中で、破産の発表に知らずに来た利用客が気遣ってくれたといいます。

アリシアクリニックの看護師
「お客様は怒ったりとかはしないで『大変ですね』って言ってくれていました。安くない金額を払って、店に通ってくれていたと思うので、心の底は怒ってるんだろうなと思います」

東京商工リサーチによりますと、美実会の2021年4月期の売上高は163億1540万円。

しかし、コロナ禍などの影響で、同業他社との競争が激しくなったことなどから、2023年の4月期の売上高は134億7380万円にとどまり、7539万円の最終赤字を計上していました。

多額の前受け金で人気タレントを起用し、新たな顧客を獲得していました一方で、医療脱毛の価格競争や、家庭用脱毛器の普及によって経営が悪化したとみられています。

「美実会」と「八桜会」2社の負債総額は合わせて124億7133万円。すでに脱毛の料金を支払っていた利用客など、債権者は9万人あまりに上っています。

これはエステ業界の倒産として、過去最大規模です。

破産手続き開始決定の翌日。取材をしていると、札幌市の店舗前に利用者の姿がありました。

女性利用客
「11時に予約してたんですが…。支払った金額は全部で30万円ちょっとくらい。突然のことすぎて、びっくりして言葉がでないです」

アリシアクリニックのホームページを見てみると、脱毛の利用料金は1回あたり約1万円。5回で13万円の全身コースもあり、利用客の多くは、高額な代金をすでに支払っていたとみられています。

利用客への返金対応はどうなるのか、ホームページにはこう書かれています。

「未施術分の施術代を返金することは、極めて難しい状況です」

「美実会」と「八桜会」は、利用者向けに新たな問い合わせフォームを作ったほか、今後の対応については破産管財人のホームページで随時発信するとしています。

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