北海道の木材をもっと有効に活用しようと、北海道大学の学生たちが新たなプロジェクトを立ち上げました。
着目したのは世界的に人気が高まっている北海道産ウイスキーです。
国内外の観光客が訪れる札幌・すすきのの酒店。
最近、特に人気なのが、道産ウイスキーです。
試飲した客
「最近の人に受けるようなフルーティーな感じが好き」
「余市のウイスキー。少しスモーキー寄りだから好き」
根本酒店 すすきの店 鈴木光さん
「出したらすぐ売れていくので、需要が多すぎて、供給が追いついていない」
いま、そんな道産ウイスキーの魅力を、地元の木材でさらに引き出そうという試みが始まっています。
「お願いしまーす」
先週、空知地方の長沼町の蒸留所でウイスキーの原酒が注がれていたのは真新しい、酒樽。
北海道大学のキャンパスで伐採されたコナラから作られました。
北海道大学農学部 小島颯太さん(19)
「ミズナラが、バニリンと呼ばれるバニラの香りがすごくよいと言われている。コナラも生物学上ミズナラとほとんど同じ種類といわれているので似た香りになるなかな」
樽づくりを企画したのは、農学部や工学部の学生ら10人ほどのグループです。
グループの代表で農学部2年生の小島颯太さんは、道産木材の活用を考えるサークルに所属。
林業に携わる人たちと交流する中で、自分も林業に役立ちたいと考えるようになりました。
北海道大学農学部 小島颯太さん(19)
「何代も人がつないで育てた(樹齢)150年の木が一気にパルプやチップになっていくのを見て、自分もプレイヤーとして何かできることはないのかと」
着目したのは、蒸留所の増加を背景に需要が高まっているウイスキーの樽です。
北海道大学農学部 小島颯太さん(19)
「お金を稼げないと山に戻すお金もないので、お金を稼ぐ産業が何かなと考えたときに、洋酒樽はどうかなと」
小島さんは工学部の仲間らとも協力し、5月からコナラとオニグルミの酒樽を試作。
蒸留所の理解を得て、ウイスキーの樽詰めにこぎつけました。
馬追蒸溜所 村田哲太郎社長
「樽が海外産の木材を使っていると、本当に北海道産100%のウイスキー作りができているのかなと引っかかっていたなかで、小島さんたちがすばらしいプロジェクトを始めた」
北海道大学農学部 小島颯太さん(19)
「0を1にはできたと思うので、1を今度は100にすることに向けて、まだまだ試行錯誤のときが続く」
ウイスキーは、樽の中で3年以上熟成した後に出荷される予定です。
小島さんたちは来年の春に法人を立ち上げ、樽づくりを本格的に進めたいと意気込んでいます。