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座礁したタンカーから重油が流出し、船体も右に傾く「乗組員を退避させたい」と救助要請 専門家は「通常では考えられない事故」と指摘 北海道函館市

北海道放送 2025年1月8日 19時26分

藤田忠司カメラマン
「漏れ出たオイルが海面に広がっています」

北海道函館市の恵山岬沖の岩場で座礁し、6日夕方から動けなくなっている小型タンカー『さんわ丸』に8日、新たな動きがありました。

8日午前6時前、「船から燃料の油が流出しオイルフェンスを張った」「船体が右におよそ5度傾き乗組員を退避させたい」と、座礁した『さんわ丸』から救助要請がありました。

函館海上保安部が午前8時ごろ、乗組員11人のうち7人を救助しましたが、『さんわ丸』の船底からは燃料の重油が漏れ出ていて、長さ2.7キロ、幅1キロほどの範囲に広がっています。

岩場からの移動作業は、9日以降に延期されました。船はなぜ座礁したのか。

海難事故を研究する神戸大学の若林伸和教授は「通常では考えられない事故」と驚きを隠しません。

神戸大学 若林伸和教授
「非常に普通ではないというか、急に曲がって一直線に岬のほうに向かってる感じですので、何があったのかな…と考えにくいところです」

事故当日の『さんわ丸』の航路です。

6日午後1時すぎに、北海道の苫小牧港を出発し、秋田に向かいました。

しかし、午後6時ごろに進路を急に変更。恵山岬の近くで座礁しました。

若林教授は風や潮の影響はなく、エンジントラブルも考えにくいとして運航体制に不備があった可能性を指摘します。

神戸大学 若林伸和教授
「最近時々あるのが、携帯の電波を求めて陸岸に近づいていくということがあって、まあ、いろんな問題があるので、そういうことはこれからの聞き取りで明らかになっていくと思います」

重油の流出が始まったことで、漁業や生態系への懸念も出てきました。

地元の漁師は突然の事故に戸惑いを隠せません。

地元の漁師
「アワビとかウニとか、そこらで取れるところなんだ」
(Q.油がかかったら死んじゃう?)
「死んじゃうさ。なして、ここ入ったんだろうな」

神戸大学 若林伸和教授
「(過去の事故でも)その後、環境が戻るまでにかなりの時間を要して、作業も大変だったということがあるので、やはり生態系に及ぼす影響は大きくて、漁業とかには特に影響が出てくる可能性はあります」

函館市 大泉潤市長
「きょう(8日)の夜にも、漁協とか海保で会議が開かれると聞いている。市の方も関わりながら対応を注視したい」

夕方には、函館市の大泉市長も視察に訪れた『さんわ丸』。

影響がどこまで広がるのか。地元の関係者は固唾をのんで見守っています。

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