重度の障害があり人工呼吸器を使う人にとって、大きな地震や停電はより命の危険につながります。
全身の筋肉が徐々に動かなくなる難病の男性が、介助を行うチームとともに避難訓練を行いました。
北海道札幌市に住む、山田洋平さん(47)です。
10年前から、全身の筋肉が徐々に動かなくなるALS(筋萎縮性側索硬化症)と闘っています。
読み上げる文字に唇や顔を動かして反応する「口文字」を使ってコミュニケーションをとりますが、24時間介助者が付き添う必要があります。
山田洋平さんに夜間に付き添う介助者は「1人」。
電源の欠かせない人工呼吸器を使っている山田さんは、大地震などが起きた際に難病患者が少ない人数で早く避難できるよう、札幌市などと協力して訓練を行うことを計画しました。
訓練で想定する状況は、白石区で震度6強の地震が起き、家が崩れる危険があるため、300メートル先の小学校へ避難するというものです。
まずは、たんの吸引機を小さなバッテリーにつなぎ、車いすに乗せます。
人工呼吸器も移動できるものに交換し、ダウンを着て、車いすに乗ります。
そして介助者の1人が先に発電機を避難所に運びつつ、道の安全を確認。
介助者
「めちゃくちゃ重たい」
「避難完了」のプレートを玄関にかけて出発です。
足場の悪い雪道を車いすで進み、地震発生から避難所への到着まで、47分かかりました。
札幌では障害が重いことなどを理由に、避難に支援を必要とする人が、約11万8,000人います。
(2024年1月時点・施設入所者含む)
国は、在宅の避難行動要支援者などを対象とした個別の避難計画を市町村の努力義務としていて、札幌市では山田さんを含む14人が個別避難計画を作成しています。
札幌市保健福祉局 地域福祉・生活支援課 乙坂明史係長
「1人1人に対して、どういったことができるか考えていかないといけないし、実際にここで過ごせるかという観点で見てもらえるのはとても大切」
山田洋平さん
「やること自体に意義があったと感じている。人工呼吸器をつけた当事者の避難時間としては、早くできたと考えている。あとはさらに訓練を重ねるのみ」
山田さんは今回の避難訓練が、重い障害があり人工呼吸器をつける人たちのモデルケースになればと考えています。