第172回芥川賞・直木賞の受賞作が15日発表されます。受賞の期待に胸を膨らませるマチが北海道内にあります。
15日午後4時から開かれている第172回芥川賞と直木賞の選考委員会。このうち直木賞には5つの作品がノミネートされ、北海道小樽市出身の作家朝倉かすみさんの「よむよむかたる」も選ばれています。
「よむよむかたる」は小樽市のとある喫茶店で月に一度開かれる、読書サークルのお話です。
平均年齢85歳の会員たちと叔母から喫茶店の店長を任されたちょっとやさぐれた若者が本を読みあい、人生について語り合う物語です。
「あたしがたみんな、若い頃は死を地面の下に追いやった気ィしてたっしょ。でも、それ、もー、違うんでないかナ、って思わさったのサ。そろそろ仲良くしたほうがいんでないかナ、って。」
作品の中には道民の心をくすぐる北海道弁が。また、小樽市の名所も登場します。
主人公の若者の思い出の場所には住吉神社が、サークルの20周年事業として開いた公開読書会の舞台は市立小樽文学館。
その文学館では、今月末までの予定で展示コーナーが設けられ、作品の非売品の見本も置かれています。
本編とは違ったストーリーが満載なんだとか。
市立小樽文学館 亀井志乃館長
「小樽の方々の、年をとっても人生を楽しんでいこうという(姿勢が)描かれている。すてきな作品なので、ぜひこの作品で受賞されたらいいなと」
そして作品には小樽市のおいしい名物も登場。読書会に会員たちが持ち寄る小樽名物も注目です。
創業130年、小樽新倉屋の「花園だんご」にはお客さんからすでに反響が。
小樽新倉屋 花園本店 神田恵店長
「サークルの皆さんが囲んで食べていたおだんごはこれですかと聞かれたり、お土産に買っていくねというのもあった」
もう1品は、創業大正3年の「大八栗原のかまぼこ」です。
大八栗原蒲鉾店 栗原康会長「実際に食べたファンである可能性が高い。染み入って感じるものがある」
作品の中では「刻んだシソを練り込んだ」とありますが、実際にあるのは蒲鉾をしそでくるんだ「しそ巻き」です。
大八栗原蒲鉾店 栗原康会長
「イメージというか、微妙にずれたかなというふうには思った。作らなきゃだめですかね、先生に言われたとおりの商品を」
聖地巡礼やおいしい名物を楽しみながら、物語の世界にひたってみてはいかがでしょうか。