札幌市と北海道石狩市とを結ぶ新たな乗り物として注目される『石狩市のロープウエー構想』。その実現性を”あのYouTuber”が取材しました。
・鉄道解説系ユーチューバー 鐵坊主さん
「(身長は)184センチですけれど、(頭は)天井につかないですね。思ったより中は広いです」
ロープウエーのゴンドラの乗り心地を確かめるのは、HBCの情報番組『今日ドキッ!』でもお馴染み。カナダ在住、“鉄道解説系”ユーチューバーの鐵坊主(てつぼうず)さんです。
・地理系ユーチューバー おもしろ地理さん
「あそこにバス停ある。あそこから奥に行って途中で左折する…」
想定ルートを歩くのは、道路やまちづくりに詳しい“地理系”ユーチューバー、おもしろ地理さんです。登録者10万人で『上位0.4パーセント』ともいわれるYouTubeの世界で、15万人を超える「銀の盾」の持ち主です。
2人の人気ユーチューバーが、石狩市のロープウエー構想を『もうひとホリ』します。
・鉄道解説系ユーチューバー 鐵坊主さん
「(石狩市が想定する)3つルートがあるけど、一番(人の)流動が多いのが麻生ということで、(地下鉄)麻生駅に来て、実際にマチの様子とかを見たい」
『石狩市のロープウエー構想』は、札幌中心部への利便性を高めようと石狩市が1年ほど前に発表。
地図SS想定ルートは、石狩湾新港を起点に3つあり、1つは住宅街の花川地区を経由してJR手稲駅を結ぶルート。
もうひとつは地下鉄南北線・麻生駅までのルート。
そして地下鉄東豊線・栄町駅を経由して丘珠空港を結ぶルート。
整備費は、およそ262億円から303億円で、小規模の投資が魅力です。
このうち、最も需要が多いと予測されるのは『麻生ルート』で、その『麻生駅』周辺から取材スタートです。
・鉄道解説系ユーチューバー 鐵坊主さん
「石狩庁舎に行くバスとか、さっきから見てると多い…」
・地理系ユーチューバー おもしろ地理さん
「いろいろ路線も(各地を)経由して、最終的には花畔(ばんなぐろ)と石狩庁舎に行くので、時間的には1時間に(バスは)5~6本」
早速、麻生エリアの第一印象を聞いてみると…
・鉄道解説系ユーチューバー 鐵坊主さん
「ロープウエー自体は解決しなければいけない課題がたくさんあるが、何らかの(レール等を使う)軌道系のアクセスがあった方がいいというのは、これだけのバスの本数を見るとそう感じざるをえない」
札幌市出身、札幌市を拠点に活動する「おもしろ地理さん」は…
・地理系ユーチューバー おもしろ地理さん
「石狩市がロープウエーをメインとして考えているというのは理解したうえで、麻生から新琴似1キロもない短い区間をちょっと伸ばして、新琴似駅をJR地下鉄とバスが使えるハプにするとか、新琴似駅から新たな交通を考えるというのもありなのかな」
次に、ロープウエーの起点になる石狩湾新港へ向かいました。
そもそも『鉄道系』の鐵坊主さんが、なぜ、ロープウエーに関心を持ったのでしょうか…
◇Zip Infrastructure本社(福島県南相馬市)
・鐵坊主さん
「これはイスが今、座席が6席」
・須知高匡社長
「(加えて)立ち6人を想定しております」
・鐵坊主さん「思ったより広いですね」
石狩市が導入を検討する”自走式ロープウエー”。
開発を担う『ジップ・インフラストラクチャー』の須知高匡社長に、福島県の本社に招かれたのがきっかけでした。
・鐵坊主さん
「支柱の高さはどれくらいになる予定?」
・須知社長
「福島では最大、支柱の高さ10m、車両の下面が地面から5mくらい」
開発中の「ジッパー」は、12人乗りの自動運転で、最高時速は36キロ。建設費は1キロメートルあたり15億円程度で、これまでのロープウエーとは違いゴンドラごとに動力を搭載し、カーブや分岐もつくりやすく道路上に支柱を建てやすいのが強みです。
福島県では、試験運転を行う、およそ70メートルの『試験線』を建設中で、鐵坊主さんはこの新しい乗り物の可能性を探ろうと、今回北海道にやってきたのです。
・鉄道解説系ユーチューバー 鐵坊主さん
「(麻生駅までの)ルート的には、やっぱこうなのかな…」
・地理系ユーチューバー おもしろ地理さん
「ここに花川通がある。こっちに行ったらちょうど麻生の方に行く」
・地理系ユーチューバー おもしろ地理さん
「石狩って風も強ければ、冬の雪の問題もあるという中で、(開発会社は)どう考えてたんですか?」
・鉄道解説系ユーチューバー 鐵坊主さん
「風に関しては、問題にはならないと思います。ただ寒さに関して言うと、耐寒実験は当然(寒冷地の)北海道などでやらなきゃいけない」
北海道の『雪と寒さ』が課題と感じた2人。さらに、大きなハードルも…
・鉄道解説系ユーチューバー 鐵坊主さん
「道路上に(ロープウエーを)作るとなると、ある程度の広い道路があるのが前提条件。新港地区みたいに、それなりに道路が広ければいいが。この辺りに来ると市街地なんで、なかなか…。市街地だからこそ、ここを通すことの意味はあるけど…」
ロープウエーの支柱は、石狩市の想定では道路の中央分離帯に建てます。
もし、道路に中央分離帯がない場合は、拡幅工事などの検討が必要になります。
ルートの道路の状況も見ながら、2人は最終地点、JR手稲駅にやってきました。
・鉄道解説系ユーチューバー 鐵坊主さん
「麻生もそうだし、ここ(手稲)もそうだけど街中に入ってから(駅や支柱の)建設スペースをどう捻出するのか、なかなか大きな問題…。ここ(手稲)のほうが駅は作りやすい」
現場を見た2人、出した結論は?2人の見立てをこちらにまとめました。
【鐵坊主さん】
『実現性60%』
実現には『脱酸素時代の新インフラとして、いかにビジョンを示すか』が大切。
人口減少、人手不足の時代の新しい公共交通になるのでは、と話しています。
【おもしろ地理さん】
『実現性40%』
人口5万人規模の石狩市が導入する交通機関としては『ロープウエーしかない』としつつ実現性は40%。
課題は、道路での『既存の交通との兼ね合い』、混雑している道路への影響を抑えつつ整備できるかが、実現のカギになると話していました。
「ジッパー」の開発、6月から実験線での試験走行が始まる一方、今後、北海道特有の雪への対策も進めながら市としては10年をめどに実用化を目指しています。