2023年、札幌市の歓楽街すすきののホテルで、当時62歳の男性が殺害され、首を切断された事件。
逮捕・起訴された親子3人のうち、父親・田村修被告(61)の裁判員裁判が、14日から札幌地方裁判所で始まりました。
第2回公判の15日は、検察側の証拠調べが行われ、殺人などの罪で起訴されている娘・瑠奈被告(30)が、現場のホテル室内で自ら撮影していた動画をもとに、女性検察官が瑠奈被告役に、男性検察官が被害男性役になって、殺害時の状況を再現しました。
■検察官が再現
再現は、浴槽の縁に、上半身裸でピンクのアイマスクで目隠しをし、両手を結束バンドで縛られた男性が腰を掛けているところから始まります。
瑠奈被告は、金髪のウィッグにマスク付きのゴーグル、レインコートを着用し「まだ見ちゃだめ」などと声をかけます。
瑠奈被告「首見せて、足も開いて、ちゃんと見せなきゃだめだよ」
瑠奈被告「一番人生で反省したことは、私との約束を破ったことだよね」
男性「あんなに怒られたことはないもん」
瑠奈被告「人生で?」
男性「うん」
そして瑠奈被告は、男性の背後から、首を2秒間に9回突き刺しました。
男性「ごめんなさい、ごめんなさい」
動画には男性のうめき声や、謝る音声も。
遺体を損壊し、浴室の壁や浴槽にカビ取り洗剤を吹きかける瑠奈被告の様子が、約1時間22分にわたって記録されていました。
■瑠奈被告は男性と性的トラブルに
検察は、瑠奈被告が殺害された男性とすすきののダンスクラブで出会い、事件の約1か月前の5月末に性的トラブルがあったと指摘しています。
「間違ったやつに連れて行かれた。アフターピルもらって、検査キットも取り寄せた」と記録された瑠奈被告の手帳を検察は、証拠として提出。
また修被告と妻の浩子被告(62)が、男性を獲物を意味する「シカ」と呼び合い、「シカがいるかどうかクラブに短時間潜入することは可能?」などとLINEでやりとりした記録も提出しました。
■パソコンやスマホの検索履歴「指紋消せる?」「殺人 時効」
検察は、修被告の勤務先やスマートフォンの検索履歴についても証拠として提出しました。
履歴には「カビ取り洗剤で指紋消せる?」「塩素系 浴室」、そして事件の直前には「殺人 時効」というワードが検索されていたと検察は指摘しています。
■修は無罪を主張
2023年7月に起きたこの事件をめぐっては、田村瑠奈被告(30)と父親の修被告(61)、母親の浩子被告(62)の3人が逮捕・起訴されています。
このうち殺人や死体損壊などを手助けした罪に問われている修被告は、14日の初公判で「違うと思う点がいくつかある」と述べ、無罪を主張しました。
修被告は、用意したメモを読み上げ「殺害や損壊の目的は知らなかった」などと述べました。
また「娘から“頭部を隠したい”と言われたことはなく、隠そうと思ったこともありません」「ただ何もできなかっただけです」と主張。
娘の犯行を知った後も、警察に通報しなかったことについては「警察がすぐ来ることはわかっていましたので、残された時間を娘と一緒に過ごすことで精いっぱいだった」と述べています。