Infoseek 楽天

【厳冬期災害演習】命を守る備え『TKB+W』トイレ・キッチン・ベッドそして暖房、折り畳みベッドはプライバシー確保に有効 北海道北見市

北海道放送 2025年1月20日 21時45分

冬の災害への備えを進める転機となった「阪神・淡路大震災」から30年が経ちましたが、防災の取り組みは、まだ道半ばです。そんな中、私たちが直面するかもしれない「極寒での避難生活」を考える演習が開かれました。

■進む避難所対策
19日まで2日間、北海道北見市で行われた厳冬期災害演習。最低気温はマイナス19.6℃、極寒の訓練で見えてきたのは、避難所対策の進歩です。

堀啓知キャスター
「どう考えてもダンボールベッドより、スチールベッドは圧倒的に早いよね」

東峰優華アナウンサー
「速いですね」

日本赤十字北海道看護大学 根本昌宏教授
「5年後、10年後の先を見ながら、未来型を含めてここまでやってみてはという提案」

「最先端の避難所」から見えてくる真冬の防災のあり方を、「もうひとホリ」します!

■能登半島地震では「災害関連死」が277人
会場の日本赤十字北海道看護大学には、自治体職員や医療関係者ら、およそ140人が集まりました。

早速、気温1度の体育館に寝転がって、毛布1枚で過ごす寒さを体験。

東峰優華アナウンサー
「あまり布団をかけても暖かくない、頭から冷えてくる印象」

去年1月の能登半島地震では、家屋の倒壊など、地震による直接的な原因で死亡したのが228人だったのに対し、避難生活の中で病気で亡くなるなどの「災害関連死」が277人で上回り、避難生活の質の向上の必要性が浮き彫りになりました。

■健康的な避難所に必要なのは「TKB+W」

演習を指揮した根本教授は、健康をそこなわない避難所作りの必要性を強調します。

日本赤十字北海道看護大学 根本昌宏教授
「住民の健康を私たちができる最大限で守る。健康な生活を営むため、どんなことが必要か「TKB+W」、この4つの要素をすべて満たす」

Tはトイレ、Kはキッチン・食事、Bはベッド、Wはウォーム・暖房を指します。

そのひとつ、生活に欠かせないトイレ。今回初登場したのが、こちらのラップ式。

排せつ物を固めて臭いを消す薬剤と、水を入れて、ボタンを押すと…。

「処理を開始します」

堀啓知キャスター
「あー固まっている。ゼリー状になっていますね」

一般的には屋外のプレハブ式やトレーラー式などがありますが…

日本赤十字北海道看護大学 根本昌宏教授
「今の時期、マイナス10℃~マイナス20℃の地域もある。(屋外の)トイレでもヒートショックの可能性がある」
「屋内にトイレを展開できるようにしなければいけない」

■暴風雪での立ち往生も想定

一方で、真冬は、暴風雪での立ち往生にも注意が必要です。場合によっては、車内で一夜を明かすこともあります。

堀キャスターは、暖房を切った車内での避難を体験。

堀啓知キャスター
「4人で体験しています。室温はマイナス5℃」

体験は、1時間ほどでしたが…。

堀啓知キャスター
「寒いか寒くないかでいうと、意外と快適だったけど、体動かせないので、寝るのはちょっと向いていないと思う。1時間だから耐えられたと思う、これが7時間とかは無理だなと感じた」

■スチール製折り畳みベッドでプライベートも確保へ

そして、寝床となるベッドの設営です。今回は従来の段ボールベッドではない、新たなベッドを導入しました。

スチール製の折り畳みベッドです。段ボールベッドは箱を組み立てて並べる必要がありますが、スチールベッドは、広げるだけでよく、短時間で設置できます。

ベッドの上にテントを張っていくと…暖を取りつつ、プライバシーも確保できる「テント・オンザ・ベッド」の完成です。

東峰優華アナウンサー
「体育館の温度は、4.2℃です。これからテントの中に入って、テントの中の温度がどれくらい上がるのか検証したいと思います」
「全く動いていませんが、かなり暖かいです」
「今の温度は15.9℃と、テントの中はかなり暖かかったです」

午前0時に消灯です。

東峰優華アナウンサー
「眠れました。結構寒かったので朝方3回くらいは起きてしまったのですが、ゆっくり眠ることができました」

参加者
「途中からテントの中に熱がこもって暖かくなったのでパーカー1枚で寝た」

日本赤十字北海道看護大学 根本昌宏教授
「しっかりと食べてしっかりと排せつするできれば、ゆっくりと寝ることができる。TKBのバランスを保つためにも最低限のW(ウォーム)を保つ」

札幌でもマンションの高層階などで、電気やガスや水道などが絶たれ孤立する恐れもあります。

自宅が避難所の役目を果たす備えがあるのか、改めて見直してみてはいかがでしょうか。

この記事の関連ニュース