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「我を失って飛び出した」巨人・阿部監督、初体験の劇弾に歓喜 現役時代は球団2位タイ7発「サヨナラ慎ちゃん」

スポーツ報知 2024年6月29日 5時5分

◆JERA セ・リーグ 巨人3×―2広島=延長10回=(28日・東京ドーム)

 まるで自分が打ったかのように大喜びした。巨人・阿部慎之助監督(45)は丸の劇的サヨナラ弾に満面の笑みで、大興奮でベンチからグラウンドに出た。「いや、あの、我を失って飛び出してしまいました」。現役時代通算、球団史上2位タイ7本のサヨナラ本塁打を記録して「サヨナラ慎ちゃん」と称された指揮官。監督として初体験のサヨナラ弾白星は格別の味だった。

 首位・広島との本拠地での3連戦を前に、ひそかに新勝利の方程式を確立していた。1点リードの8回にケラーを投入。9回はバルドナードが2死三塁までこぎ着けたが、田中への2球目の速球がショートバウンドになり、捕手の岸田が止められず痛恨の同点ワイルドピッチとなった。「あれはたぶんオリバー・カーンでも捕れなかったと思います」。サッカーの元ドイツ代表の名GKの名前を出し、「けど必死な中でのことなので、また次抑えてくれると思います」とかばった。

 前夜、ケラーは横浜スタジアムで10回に宮崎にサヨナラ弾を浴びた。やられたらやり返すのが阿部流。試合前に投手が練習する外野まで足を運ぶと、ケラーに「またあるから。切り替えて」とねぎらいの言葉をかけた上で「8回でいく」と直接通達した。中川、大勢が故障で離脱する中、高梨や西舘ら日替わりで乗り切ってきた8回をケラーに託すと決めた。155キロ前後の剛速球と強気の姿勢を買った。

 「8、9回はケラーとバルでいこうと決めた。変わらずそこはやっていきたい」。中川と大勢の復帰を焦らせない方針もあり、この日から助っ人2人を勝ちパターンに固定。その初戦で勝ったことが良薬だ。

 阿部監督は午後2時前からグラウンドに姿を見せ、佐々木ら若手の早出特打で打撃投手を務めていた。その後、自ら打席に入って選手に手本を見せるかのように豪快なフルスイング。強烈なライナーを右翼フェンスにぶつけた。「発散したよ」と大量の汗をかき心機一転。前夜のサヨナラ負けの悪夢にサヨナラして、大きな勝利を得た。

 「今日はうれしさに少しだけ浸って、帰ったらすぐ切り替えたい。明日また新しい試合があるので、勝てるようにしたい」。走塁、守備の細かいミスもあったが、貯金1で首位・広島と3・5差。劇的な勝利がチームを明るく照らした。(片岡 優帆)

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