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【高校野球】いわき湯本 甲子園目指して「日本一を知る旅」…全国高校野球選手権福島大会・注目校紹介

スポーツ報知 2024年6月30日 9時8分

 全国高校野球選手権(8月7日から17日間、甲子園)出場を目指す東北6県の注目校・注目選手を紹介する。12日に開幕する福島は、22年に遠野と湯本が統合して開校したいわき湯本が「日本一を知る」春を過ごし、レベルアップ。湯本時代から通じて初となる聖地への道を切り開く。

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 いわき湯本が掲げた目標は「甲子園で校歌を歌う」だ。夏の福島大会での過去最高成績は、湯本時代の92年準優勝。まだ見ぬ景色への道を描くため、小野裕久監督は「経験しないとイメージできない」と、この春にナインを「日本一を知る旅」へ連れ出した。

 3月、甲子園常連で2度の優勝経験を持つ横浜(神奈川)へ遠征。道中で富士山の見える宿に宿泊し「日本一」の山を背景に記念撮影をした。遠征費は、年末年始にそろってアルバイトをして各自がためた資金でやりくり。嶋根夢来(ゆら)主将(3年)は「働くのは大変で、精神的にも成長した。野球ができるのは当たり前じゃないと改めて思えた」と感謝の心も養った。

 4月には、22年夏に東北勢初の甲子園優勝を果たした仙台育英(宮城)を訪問して練習試合を行った。技術面はもちろん「一球への集中力や、あいさつ、整備の姿勢などすべてが学びだった」と嶋根。最後は、県大会初戦で聖光学院と激突。「日本一」へこだわりを持って戦う同じ県内の強豪であり、最大の壁である相手の力を肌で感じた。小野監督は「泥くささや気迫、執念を感じて、いい春の“締め”になった」と振り返る。

 春の経験を生かし「小さなプレー一つも勝敗につながる」と夏に向けて一体感を増すチーム。試合で核となるのは、捕手・嶋根主将とエース・岩並裕晃(3年)のバッテリーだ。強豪相手にも前半は無失点で切り抜ける展開が多く、岩並は「うまくコースを突けば抑えられると自信になった」。タイミングをずらして打ち取る変化球も磨き「流れを持ってきたい」と試合をつくるつもりだ。春に刺激を受け、思い描いてきた聖地への道を一歩ずつ進んで新たな歴史を切り開く。

(秋元 萌佳)

 〇…打線は4番に座る坪井弘一郎内野手(3年)が軸となる。新基準バットになり、振り込む量を50本以上増やしたことで「ポイントをつかんで、芯で捉える感覚がついた」と練習試合でもマルチ安打を記録することが多くなった。夏の大会で目指すのは、3月に亡くなった祖父と約束したという本塁打だ。「ずっと応援してくれていたので、一本打って届けたい。悔いの残らない試合をします」と誓った。

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