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【高校野球】大船渡は「考える野球」で岩手から公立校30年ぶり甲子園目指す…全国高校野球選手権岩手大会・注目校紹介

スポーツ報知 2024年6月30日 9時16分

 全国高校野球選手権(8月7日から17日間、甲子園)出場を目指す東北6県の注目校・注目選手を紹介する。10日開幕の岩手では今春県大会3位に入った大船渡が、“シンキングベースボール”で1994年の盛岡四以来となる公立校の甲子園出場を目指す。

 流れるように練習が進むことは、ほとんどない。一つのプレーを確認するように、選手たちが何人も集まって意見を交わす。これが大船渡の普段の風景だ。

 「自分たちで考えてやれば同じ練習でも質を高められる」と室峻也主将(3年)は胸を張った。平日の練習は約2時間半しかできず、ほとんどが実戦形式。新沼悠太監督(35)は「グラウンドにいる時間が少ないので、自立してやらないといけない」と説明した。しかし決して選手任せではない。

 大船渡市内の施設にある測定器「ラプソード」を使い、ボールの回転数や回転軸などを分析。また定期的に筋トレなどの測定日を設けた。「数値は材料として必要。指導の仕方がクリアになった」と指揮官。データを見て助言をもらい、選手本人が長所や短所を理解してその後の練習に生かす。一人一人がより深く考えるようになった。昨秋は県初戦で敗退も今春は県3位。地道に力をつけてきた。

 岩手の公立校で夏に聖地への切符をつかんだのは、1994年の盛岡四が最後。以降は私立校の出場が続いている。大船渡も現ロッテ・佐々木朗希投手(22)を擁して19年に決勝進出を果たすも、準優勝に終わった。

 新沼監督は一関一のエースとして現楽天・阿部寿樹内野手(34)とともに戦い、高3時は春季東北大会で優勝も夏は3回戦で涙をのんだ。「生半可な気持ちではダメ」と厳しさを感じながら、「特長を生かしてプレーできればいい試合になる」と期待を込めた。「やるべきことを突き詰めて、しっかりやれば勝てる」と室主将。30年ぶりの公立校出場へ、大船渡が一歩ずつ進んでいく。

(有吉 広紀)

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