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【高校野球】知徳の右腕・小船翼が158キロ宣言「いい姿を見せようと気持ちが上がります」…全国高校野球選手権静岡大会の開会式

スポーツ報知 2024年7月1日 10時25分

 第106回全国高校野球選手権静岡大会の開会式が30日、草薙球場で行われた。今大会の最注目選手、知徳・小船翼投手(3年)も晴れやかな表情で参加。MAX152キロを誇るドラフト候補右腕は「最速155キロ以上、158キロを出す」と宣言。チームメートへの思いを胸に、春夏通じて同校初の甲子園出場へ引っ張る覚悟だ。全108校が集結し、5年ぶりに一般の観客を入れた開会式では清水桜が丘の小笠原蒼悟主将(3年)が選手宣誓を行った。1回戦は6日からスタートする。

 小船の高校最後の夏が始まった。NPB12球団とメジャー2球団が視察に訪れた198センチ右腕。旗手に続いてグラウンドに足を踏み入れた。「行進する機会はあまりないので新鮮でした」。下田―浜松日体の勝者との13日初戦に向けて「ようやく始まります」と胸を高鳴らせた。

 春の県大会で県内高校生最速タイ152キロを出し、自己最速を更新した。夏の大会を前に新聞、テレビなど合計10社以上が練習取材に訪れた。「注目されているのは感じている。いい姿を見せようと気持ちが上がります」と臆することはない。

 大会後の5月下旬に右肩炎症が判明し、2週間ほどノースロー調整をした。この期間は体づくりに専念。約2時間の走塁練習やウェートトレを行った時もあり、下半身との連動性を高めた。「(投球での)体重移動の時により踏ん張れるようになり、より左足が沈む感覚。球速アップに間違いなくつながる」。6月8日から練習試合に登板し、22日には145キロを計測。順調な仕上がりを見せている。

 また、春は持ち球のスライダー、フォークの質を課題にしていたが「春は腕の振りが緩くなっていたが、しっかり投げられるようになり、制球力が良くなった」と手応えを口にしていた。

 初鹿文彦監督(48)によると、エースの一時離脱でチームに「小船がいなくても勝つ」と意識の変化が訪れた。2番手左腕・原田勇磨(3年)は、小船が離脱中の練習試合3試合で9回完投を2度達成。状態が上向きになってきた打線とともに頼もしさが増している。

 6月26日に大会メンバー20人が発表され、3年生部員11人のうち2人がベンチ外となった。チームでは入学時から学年ごとに順番に書く「野球ノート」がある。発表翌日に小船が記した。「これまで練習をがんばってきて、良くなってきた所でもあったので、同じ3年生としても残念な結果であります。なのでまたベンチに入れるように勝って甲子園に行くしかありません」。仲間を思う右腕の強い決意がにじんでいた。

(伊藤 明日香)

 ◆小船 翼(こぶね・つばさ)2006年6月20日、神奈川県生まれ。18歳。5歳から野球を始め、海老名市立柏ケ谷中時代は海老名リトルシニアでプレーし全国大会も経験。6学年上の兄・歩さんと同じ知徳に進学。好きな球団は、西武。「山賊打線」に魅了された。198センチ、110キロ。右投右打。

 〇…清水桜が丘の小笠原主将が選手宣誓の大役を務めた。宣誓文は自分で考え、国語の先生や校長にチェックしてもらった。お気に入りのフレーズは「誇りを胸に感謝をプレーで表現し、みなさまの記憶に残る史上最高の熱い夏にする」の部分で、「最後まで言い切れたのは良かったけど、ちょっとかんでしまったので70点」と、控えめだった。初戦は7日に浜北西と対戦。中軸を任される主将は「打って残りの30点をカバーしたい」。“宣誓クン”がバットで勝利に貢献する。

 〇…昨年の覇者・浜松開誠館の加藤蔵乃介主将(3年)が優勝旗を返還し、レプリカを受け取った。開会式に先立った入場行進では、他校を引き連れるかのように真っ先に登場した。「今年また(優勝旗を)受け取って、来年の後輩につなぎたい」と、連覇を誓った。最近の練習試合では昨秋の東海大会出場校の岐阜一を下すなど「チームはいい感じに仕上がってきています」と、手応えをつかんでいる。

 〇…磐田東のユニホームが、4月に就任した赤堀佳敬監督(31)の下で一新された。同校カラー「群青」のブルー地に白ストライプが、注目を集めた。今春、健大高崎(群馬)のセンバツVをコーチとして支えた指揮官は「磐田東は剣道部、サッカー部が強い。その部活着に使用している色を使った。2つの部に追いつけ、追い越せの気持ち」と説明。春夏通じて初の甲子園に勝負服から気持ち新た。原啓与(けいと)主将(3年)は「色がかっこいい」と目がハート。「(着用し)赤堀監督を勝たせたいという気持ちが深まった」 

 〇…佐久間は6年ぶりの単独出場を機に、復刻したユニホームで夏に挑む。2017年、浜松湖北の分校になる前に着用していた縦ストライプのデザインになった。また校名をローマ字表記から漢字表記に変更。赤石颯飛主将(3年)は「校名がゴールドのフチで囲まれているところがいい。ゴールドはトップの色って感じがします」と笑顔。「復刻した最初の年、また自分は3年生なので頑張っていきたい」

 ◆高校野球◇表彰 開会式で駿河総合の望月俊治監督(58)が育成功労賞で表彰された。島田商や母校・静岡商など野球部の指導に携わって通算24年目で、オリックスの紅林弘太郎内野手ら計3人のプロ選手を育てた。

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