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【プロキオンS】砂の怪物候補が4秒3差デビューV飾った舞台で重賞初挑戦 武豊騎手がゴールドアリュールと重ねる好素材

スポーツ報知 2024年7月2日 6時5分

◆第29回プロキオンS(7月7日、小倉競馬場・ダート1700メートル)

 第29回プロキオンS・G3(7日、小倉)で、ここまで無敗、砂の大物候補ヤマニンウルスが重賞に初挑戦する。2年前の夏に衝撃の大差勝ちでデビューし、大事に使われながら今回が5戦目の4歳馬。1984年のグレード制導入後、トウカイテイオー、ファインモーションなど6頭7例しかない無敗でのJRA古馬重賞制覇を狙う。

 衝撃の地へ戻ってくる。2年前の夏。ヤマニンウルスは今回と同じ小倉ダート1700メートルのデビュー戦でただ一頭、別世界にいた。3角手前で抑え切れないように先頭へ立つと、その後は後続を突き放す一方。2着でのちに重賞を勝つゴライコウにつけた4秒3差は1984年のグレード制導入後では平地最大着差で、勝ち時計の1分44秒3はJRA2歳レコードという記録ずくめの勝利だった。

 しかし、4歳夏でまだキャリア4戦しかない。斉藤崇調教師は爪の不安などに悩まされた愛馬に無理をさせず、慎重に育ててきた。実は6か月ぶりとなった今回もそうだ。「当初は平安Sを予定していたが、裂蹄で間に合いませんでした。ただ、放牧から帰ってからは順調です。追い切りも予定通りです」と説明する。

 ポテンシャルは底知れない。前走に引き続き、コンビを組む武豊は証言する。「まだ緩さもあって正直、乗っていていいと思ったことがないんだよね。それで、あのパフォーマンスだからね。乗っていても速く感じない」。冷静な分析を行った後、こう言葉を続けた。「ゴールドアリュール【注】がそういう馬だったよね。楽に走っているのにちぎってしまう感じ」。自らが手綱を執り、砂上で一時代を築いた名馬と歩んだ記憶が自然とよみがえった。

 デビュー時から約50キロ増え、前走で馬体重は582キロの超大型馬へパワーアップを遂げた。しかし、斉藤崇調教師は「実は体のフレーム的には(馬体重が)もっとあってもいいぐらいだと思っているんです」と指摘する。この日のために主戦場の北海道から小倉に参戦するレジェンドも「成長すればもっと走ってくるのかなと思う」と期待は大きい。進化を続ける怪物がもうすぐ夏の小倉に再降臨する。(山本 武志)

 【注】02年日本ダービー5着後にダートに転向し、砂上ではすべて武豊が手綱を執った。7月のジャパンダートダービーから翌年のフェブラリーSまでG1・Jpn1を4勝。02年最優秀ダートホースに選ばれた。しかし、03年帝王賞11着後に喘鳴(ぜんめい)症が発覚し、早々と引退が決まった。種牡馬となってからもエスポワールシチーやスマートファルコン、コパノリッキーなど多くの名馬を輩出している。

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