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【阪神】岡田彰布監督 藤本定義氏に並ぶ球団最多514勝 ウィニングボールは「誰も覚えてないやろ。いらん」と一蹴

スポーツ報知 2024年7月4日 5時0分

◆JERA セ・リーグ 広島1―2阪神(3日・マツダスタジアム)

 阪神・岡田彰布監督(66)が阪神監督として歴代最多の藤本定義氏に並ぶ514勝目を挙げた。佐藤輝明内野手(25)が2回に4月21日の中日戦(甲子園)以来、123打席ぶりの先制アーチを放つと、同点の6回2死でも勝ち越しの5号ソロ。今季初の1試合2発で指揮官の偉業に花を添えた。チームは2位に浮上し、首位・広島に2ゲーム差と迫った。

 いつも通り、ふっと息をついた岡田監督はゆっくりハイタッチの列に加わった。阪神監督として歴代最多タイの通算514勝目。1961~68年に指揮した藤本定義氏に半世紀以上の時を経て並んだ。それでも一瞬の照れ笑いの後、記録の話題はシャットアウト。「そんなん(記録は)関係ないよ、関係ないって。オールスターまでやな。どれだけ貯金を積み重ねれるかや」。興味は目の前の戦いだけ。その積み重ねが、また金字塔を打ち立てた。

 4投手のリレーで1点差の逃げ切り。「まだまだ、そんな楽に勝てんわ」。得点は佐藤輝の2本のソロのみだが、9安打と各打者の復調の兆しの継続に手応えも得た。「こないしてしのいでたら、もうちょい楽な勝ち方できるようになる」。チームの話に終始。ウィニングボールについても「そんなん誰も覚えてないやろ。いらん」と一蹴したが、球団89年の伝統の重みは誰よりも知っている。

 「俺の現役時代に携わった監督、もう吉田(義男)さんと安藤(統男)さんだけやで。みんな亡くなってしまったんやなあ」

 もう66歳。かつては遠征先の食事会場で深夜まで及んだコーチやスタッフへの考え方の伝授、野球談義はなくなった。全員が年下。「俺が長々いたら、みんな気使うやろ」。早めに退散する代わりに、自身に届く差し入れをこっそり提供。「あいつら、俺がもらった肉や酒を好き放題に」と柔らかな笑みで見守る。

 そんな場で、今季9度目の完封負けを喫し、交流戦の負け越しが決まった福岡遠征中の6月14日にコーチ陣に厳しい言葉を並べた。選手に意図が伝わらない日々。「何でもっとコーチから言えへんのや」。翌15日は「俺は何もせん。勝手にやってみろ」と打順決定も作戦も一任。もう一度、阪神の野球について考えさせた。

 「何も言わんでええ」と繰り返した昨季とは違う苦しい戦いだが、首位・広島に連勝して2ゲーム差。唯一無二の目標である球団史上初のリーグ連覇も十分に射程圏内だ。(安藤 理)

 ◆藤本 定義(ふじもと・さだよし)1904年12月20日、愛媛・松山市生まれ。松山商、早大の投手として活躍。東京鉄道管理局(現JR東日本)の監督となり、36年に巨人監督に迎えられ、42年まで指揮を執った。戦後も太陽、金星、大映、阪急を率い、61年から68年まで阪神の監督を務めた。歴代3位の監督通算1657勝。81年に76歳で死去。

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