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【高校野球】羽黒が大改革で甲子園目指す…社会人野球出身・大向監督が説く「準備力」…全国高校野球選手権山形大会・注目校紹介

スポーツ報知 2024年7月5日 8時56分

 全国高校野球選手権(8月7日から17日間、甲子園)を目指す東北6県の注目校・注目選手を紹介する。12日開幕の山形は、かつて社会人野球でチームを指揮した経験を持つ大向誠監督(53)が率いる羽黒が、第5シードから聖地を狙う。1年間かけて注入してきた“大向イズム”で成長した選手たちが、指揮官と迎える初めての夏で結果を残す。

 初めて迎える夏を直前に控えても、羽黒・大向監督は自然体だ。「やるのは僕じゃなくて選手たち。僕のチームではなく君たちのチームだよ、自分たちで考えて、と言っている」と練習をじっと見つめる。きらやか銀行(山形)を率いて2度の都市対抗出場を果たし、羽黒には昨夏の山形大会終了後に就任。そこから約1年、チームにそれまでと異なることを取り入れ、選手たちに問いかけてきた。

 打撃ではファーストストライクを振ることを徹底させた。ほとんどの投手が早いカウントにストライクを取りにくるデータがあるなか、「初球から振ることができなかった。3球で攻撃が終わってもいいから狙いなさい、と言ってきた」。その中で“打つ=芯で捉える”と強く振ることを意識し、それを実践するためにコースや配球を読むことの重要さを説いた。

 佐藤佑亮主将(3年)は「今までは技術だけで戦っていた。ただ打つだけじゃなく、(それまでの)準備が大事だと知りました」。相手投手がストライクを取ることが多い球種やコースが分かれば、打てる確率も上がる。そこまで考えて打席に立てるようにと、チーム内での会話やデータへの意識が変わってきた。

 昨秋は県3位で東北大会出場。だが今春は準々決勝で鶴岡東に3―11で7回コールド負けした。1回に2死走者なしから4点を失うなど、やるべきことができなかった。大向監督は「原因は自分たちにある」とあえて突き放し、佐藤主将は「心の準備ができていなくて、自信のなさが出た。もうあんな悔しい思いはしたくない」ときっぱり。甲子園出場には昨秋、今春と県連覇の鶴岡東が最大のライバル。ともに勝ち上がれば再戦は決勝だ。大一番で雪辱を果たすため、それまでに自信を積み上げていく。

 「お世話になった人たちに恩返しする気持ちで戦う」と意気込んだ佐藤主将は「甲子園に出て、勝つ。それが一番の恩返しかな」。大向監督は「目の前の相手を倒す。それには準備だよね」と何度も選手たちに伝えてきた。一戦ずつ万全の準備をして、羽黒が6年ぶりの夏の頂点を目指していく。

(有吉 広紀)

 ◆大向 誠(おおむかい・まこと)1971年6月21日、青森・八戸市生まれ。53歳。八戸商から秋田経済法科大(現ノースアジア大)に進み、94年にきらやか銀行に入行。2007年に選手兼監督となり、07―09年のクラブチーム時代もチームを指揮。16、17年と2年連続で都市対抗に出場し、16年に初出場初勝利を挙げた。18年に監督勇退。23年夏の山形大会後、羽黒の監督に就任。現役時のポジションは捕手。

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