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【高校野球】熱海が逆転で18年ぶり1勝…沼津商から4人レンタルで5年ぶり単独校名で出場

スポーツ報知 2024年7月7日 10時29分

◇全国高校野球選手権静岡大会 ▽1回戦 熱海5-2裾野(6日・愛鷹)

 熱戦の火ぶたが切られ、1回戦22試合が行われた。2020年(独自大会)から昨年まで夏は連合チームで出場していた熱海が「単独廃校ルール」を活用し沼津商から4選手を借りて、5年ぶりに単独校名で出場。昨秋と春に連合チームを組んでいた裾野に5―2で逆転勝ちし、18年ぶりの初戦突破を果たした。

 最後は三振で締めた。熱海のエース・矢吹諺(げん)主将(3年)が、この日12個目のKを奪うと、淡々とマウンドを降りた。昨秋、今春と連合チームで共に戦った裾野を相手に137球で2失点完投。「顔には出さないけど、内心はうれしかった」。かつての仲間だったからこそ、派手なガッツポーズは避けた。

 7安打を浴びながら要所を締めた唯一の最上級生は、バットでも活躍した。2安打1打点と3番の役目を果たした。「初回に2点取られてギアが入った。勝ちたい思いが強くなった」。2006年以来、18年ぶり夏1勝を引き寄せた。

 「単独廃校ルール」で沼津商から1年生4人を借りて出場。単独の「熱海」としては2019年以来、5年ぶりだった。多くの人に支えられた。9番・遊撃で出場した木村翔汰は5日の夜、39度の高熱に襲われた。9人ギリギリで、木村が欠場なら棄権の危機だった。夜に病院で点滴を打って強行出場。「朝、熱が下がって体調も戻っていたので出られました」。スタンドでは第1試合で富士宮北に敗れた沼商の選手たちが、応援団として声を枯らしてくれた。

 来季以降は「熱海」の名前が消える可能性もある。西尾郁哉監督(28)によると「来年度以降、部員は募集しない」と学校の方針を明かした。2年生以下は4人のみ。4人以下の場合は今回のような“特別措置”は認められない。今後、新たに部員が入部しない場合、残り2年は連合チームで出場するしか道はなさそうだ。

 1973年以来、51年ぶり夏2勝へ、2回戦は市立沼津が相手。「次も勝てるように頑張りたい」と、矢吹。1日でも長く仲間とプレーする。(塩沢 武士)

 ◆単独廃校ルールとは 2000年に日本高野連が取り入れ、12年に改正された。部員不足の高校が、近隣の高校から部員を借りて大会への出場を認める特別措置。複数校から借りることはできない。適当な相手が見つからずに連合チームが組めない高校も、このルールの適用が可能。元の高校の部員数は5人以上必要で、合計10人になるまで借りられる。一つの大会では登録されたチームでのみ出場できる。

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