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【高校野球】東大合格者数全国3位の灘が2年ぶり夏1勝 投打に活躍の小山喜弘、勉強は「手につかない」 

スポーツ報知 2024年7月7日 18時34分

◆第106回全国高校野球選手権兵庫大会▽1回戦 灘9―2宝塚東(7日・ベイコム)

 2024年度の東大合格者数が全国3位の灘が、2年ぶりの夏1勝を挙げた。東大志望の左腕・小山喜弘(3年)が5安打2失点、9奪三振で完投勝ちした。

 最後の打者を空振り三振に仕留めると、小山は拳を握りしめた。「内容は悪かった。7回ぐらいに左足がつりかけてやばかった。何とか耐えて9回までいけた。今年、公式戦で勝てていなかったので素直にうれしい」と、火照った顔に笑みを浮かべた。

 昨春は67年ぶりに春季県大会に出場したものの、昨夏は延長10回タイブレークで川西北陵に3―6で初戦敗退した。小山ら前チームのレギュラーが数人残り、「去年は僕が最初に打たれて負けてしまった。今年は絶対に先制点をあげないように」。120キロ台後半の直球とスライダーを駆使し、苦手の立ち上がりを3者連続空振り三振で滑り出した。宮崎秀明監督は「彼の力だったら、これぐらいは。よく集中力を持って投げてくれた」と、たたえた。

 バットでも大活躍だった。単打、二塁打、三塁打の3安打で3得点。部員は16人で3年生は3人だけ。それでも、12安打で4回以外は毎回得点を奪い、コールド勝ち目前という大勝だった。「普段、こんなに(長打を)打つことはない。夏大(夏の大会)で、いい力が出たのかな」と笑った。

 同じく東大志望の内藤正純中堅手(2年)は、3安打3打点で1番打者としての役割を果たした。約2時間半かけて東広島市から新幹線で通学しており、定期代は月に約12万円のもよう。「(灘に)通う価値はある」。午前6時に起床し、6時15分に自宅を出る。内藤を含めた2人だけが丸刈りで臨んでいる。

 筑波大大学院時代は、社会人クラブチームの「全三郷硬式野球部」でプレーした宮崎監督は「今年のチームは力があったんですけど、勝てていなかったので、何とか1つ勝たせてあげたかった。うれしいです」と拍手を送った。

 昨年度の3年生は11人中、医学部を含めて京大に4人、東大に3人が現役合格した。小山は40人の文系で10~15番台の成績だという。志望校については「東大…。いや~」と照れた。灘中の軟式部で野球を始め「名残惜しくなってきた」と、大学進学後も野球を続けることを検討している。

 12日の2回戦は甲南と対戦する。毎年、定期戦を行う間柄で、6月は相手が出場機会に恵まれない3年生が中心とはいえ、9―0で大勝。小山が完封した。甲南には広島・新井監督の次男・颯真投手(3年)が在籍している。「この組み合わせを見た時に、甲南さんがいたので、シード(校)を破って次に行きたい」と小山。期末試験が4日に始まり、12日まであるが「今回の期末は捨ててます! 手につかない。ドキドキしているので」と笑った。「できるだけ長く3年生が卒業する日を延ばしたい」と指揮官。灘は、15年ぶりの夏2勝しか見えていない。

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