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「パリの地で格好いいアスリートになりたい」早田ひな、ツアー転戦の合間に五輪開催地に立ち寄り決意新た

スポーツ報知 2024年7月13日 5時0分

 卓球のパリ五輪代表が12日、東京・北区の味の素ナショナルトレーニングセンターで直前合宿を報道陣に公開した。7日に24歳となった初出場の早田ひな(日本生命)は「100%を出せるように戦えれば」と決意表明。今月まで約2か月半、総移動距離4万キロを超える海外遠征をこなした。男子の張本智和(21)=智和企画=と組む混合ダブルスは直近の世界ツアー4大会で優勝を重ねて勢いに乗り、本大会は第2シードが確実。パリでは女子シングルス、団体戦を加えた3種目で世界一を目指し、“ひな旋風”を巻き起こす。

 24歳になったばかりのエースが、パリで最高の夏を過ごす。海外遠征から帰国したばかりの早田は、慌ただしくも充実の表情だった。開幕が迫る大舞台へ「4歳で卓球を始めて20年、夢だった五輪に初出場できた。24歳は将来、人生を振り返った時に、一番の思い出に出てくる。後悔なく戦い抜きたい」と決意を新たにした。この日は拠点の大阪から東京に移動し、コンディション調整のため公開練習には参加しなかったが、状態は問題ないという。

 五輪でのシード獲得へ、直前まで真剣勝負が続いた。5月から約2か月かけてブラジル、中国、クロアチア、スロベニア、チュニジア、タイの海外6大会を転戦。張本智と組む混合ダブルスでは世界ツアー、スターコンテンダーバンコク(7日)まで4大会連続の優勝。出場した最後の大会で第2シード入りを確実にした。パリでは第1シードの最強国・中国ペアと反対の山に入る。「苦しかった部分はあるが、張本選手と同じ方向を見てやれた」。海外選手にも祝福された7日の誕生日に勝ち、「思い出に残る」と笑った。すべては五輪で金メダルをつかむためだ。

 6大会転戦の総移動距離は、地球1周分に相当する約4万キロに及んだ。実はその遠征の合間、パリに立ち寄った。「一度パリを感じておこうと。道を歩いているパリジェンヌも格好いい。自分はこのパリの地で、格好いいアスリートになりたい」と改めて世界一を思い描いた。バンコクから帰国後も休む時間はなく「(片づけが済んでいない)スーツケースは6個もたまっているので整理しないと。忙しすぎてあまり五輪という感覚がない」と苦笑いも、タフな遠征を乗り越えた経験は大きかった。

 補欠として同行した21年東京五輪で“勝ち方”を知った。同学年の伊藤美誠が金、銀、銅メダルを獲得。伊藤が水谷隼と組んだ混合ダブルスで優勝し、残るシングルスと団体戦の2種目に弾みをつけた姿を見てきた。パリでも混合ダブルスが最初の決勝種目で「勢いをつけていく」と視線を上げた。この日のうちに大阪に戻り「習得したい、精度を上げたい技術を練習する。最新の自分で戦いたい。100%を出せるように戦えれば」。夢舞台へ最善を尽くす。(宮下 京香)

 “相棒”毛布持参 〇…早田は初の夢舞台へ長年愛用する“相棒”を持っていく。7歳の頃から使用している黄色い毛布だ。「汚れかかっているけど…」と言うが、「2秒で寝られる」。海外でも就寝に欠かせないアイテムだ。また、5月から約2か月間の長期遠征では、友人からもらったという「お守り」を持って混合ダブルスで五輪第2シード入り。「相当な強運だと思うので、持っていきたい」と、うなずいた。

 展望 女子シングルスで世界ランク5位の早田にとって、金メダルを狙う上で超えなければいけないのが中国勢の2人だ。最大の壁は同1位で世界女王の孫穎莎。過去の対戦で15戦全敗を喫している。東京五輪女王の陳夢とは9度対戦し、2月の世界選手権団体戦で初勝利を挙げている。世界8位の申裕斌(しん・ゆびん、韓国)、同10位のベルナデッテ・スッチ(ルーマニア)らもメダル争いに絡む力はある。

 混合ダブルスは世界王者の王楚欽、孫穎莎(中国)組が突出している。張本智、早田組も過去5戦で未勝利だ。第2シードを最後まで争った林鐘勲、申裕斌(韓国)組も侮れない。

 女子団体は日本が4連覇中の打倒・中国に最も近い位置にいる。

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