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偏差値73名門進学校・水戸一、史上最長タイ70年ぶり夏の甲子園へ初戦突破「1位にならないと意味がない」エースの決心

スポーツ報知 2024年7月13日 6時15分

◆第106回全国高校野球選手権茨城大会 ▽2回戦 水戸一8―1牛久栄進=8回コールド=(12日・ノーブルホーム水戸)

 茨城では、偏差値73を誇る県内屈指の名門進学校・水戸一が8回コールドで夏1勝。最速143キロ右腕・小川永惺(ひさと、3年)が7回を無安打無失点、打っては先制打を含む3安打5打点の活躍で、70年ぶりとなる夏の甲子園へ好発進した。

 降り注ぐ雨が絶え間なく頬を伝う。それでも水戸一・小川はポーカーフェースを貫いた。7回2死、カウント2―2からの5球目、チェンジアップで三塁ゴロに仕留めると、強く拳を握った。夏の初マウンドは7回を無安打無失点。4四球を与えたが、危なげない98球でエースの重責を全うした。

 「気持ちで投げました。状況が悪い中でもチームが勝てるよう、一人ひとり抑えたら、結果的にノーヒットという形になりました」

 打ってもすごい。0―0の5回2死二塁ではチェンジアップを左前に運び、先制打。7回1死一、三塁では右中間に2点二塁打を放った。左翼の守備に就いた後、8回2死満塁では一塁ベースに直撃する右前2点打。9番ながら3安打5打点の大暴れに「運です」と謙虚に言った。

 報道陣からは「大谷翔平に似てる」との声が上がった。「物心ついた頃から言われています」と笑う。将来の夢に「最後の最後はプロ野球選手になりたい」と力を込めた。同校では1954年夏の甲子園に出場し、高卒で西鉄に入団、56年の巨人との日本シリーズで1試合3盗塁のシリーズ記録を持つ玉造陽二がプロ野球選手として活躍した。小川も大志を抱き、鍛錬に打ち込む。

 夏の甲子園のブランク出場は、09年に70年ぶりの出場となった関西学院が最長。この夏、水戸一が出場を決めればタイ記録になる。1月26日のセンバツ選考委では、21世紀枠の関東代表に選出され、9校の最終候補に残りながらも落選した。悲しみに暮れる下級生の女子マネジャーに、小川は言った。「俺が甲子園に連れて行ってやるよ」―。昨秋と今春は県4強。「このまま4強でも、1位にならないと意味がない。全員で勝って、全員で笑って、甲子園に行きたい」。一球入魂の精神で夏切符を奪う。(加藤 弘士)

 ◆小川 永惺(おがわ・ひさと)2007年3月25日、茨城・常陸太田市生まれ。17歳。世矢小3年から野球を始め、世矢中では日立ボーイズでプレー。水戸一では1年春からベンチ入り。好きなプロ野球選手は日本ハム・伊藤大海、オリックス・吉田輝星、元中日・和田一浩。好物はエビピラフ。好きなタレントは福原遥。180センチ、80キロ。右投右打。

 ▼夏の最長ブランク出場 

 1954年以来、70年ぶり4度目の選手権出場を目指す水戸一が勝利。

 センバツの最長ブランク出場には、2015年松山東の82年ぶりがあるが(70年ぶり以上4校)、選手権の長期ブランク出場上位は

70年ぶり 09年関西学院

61年ぶり 00年札幌南

57年ぶり 83年東山

57年ぶり 86年前橋商

 もし、水戸一が出場すれば、選手権での最長ブランク出場タイ記録。茨城勢では、66年竜ケ崎一の44年ぶりを上回る最長ブランク出場になるが、どうか。

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