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パリへ旅立つ前に故郷・石川に「パワーを届ける」帰省中に被災したなでしこDF、復興支援マッチで先発へ

スポーツ報知 2024年7月13日 5時45分

◆MS&AD杯 日本―ガーナ(13日、金沢ゴーゴーカレースタジアム)

 サッカー女子代表「なでしこジャパン」は、パリ五輪前最後の国内試合となるガーナ戦に向け、石川・金沢市内で最終調整を行った。同市出身のDF北川ひかる(27)=INAC神戸=は、帰省中の元日に発生した能登半島地震で被災。生まれ育った地で躍動し、12年ロンドン五輪以来のメダルへ希望の光を照らす。チームは14日に渡仏し、19日にコロンビア代表と非公開の練習試合を行う。

 人一倍、強い思いを抱いてピッチに立つ。復興途上の故郷・石川でのガーナ戦前に、北川は力を込めた。「しっかりパワーを届けられるように。勝って思いを届けられたらと思います」。12年ロンドン五輪(銀メダル)以来となる表彰台を目指すパリへ、国内最後の対外試合であり、復興支援マッチでもある一戦に、並々ならぬ覚悟で臨む。

 元日の能登半島地震発生時は、金沢市内に帰省中だった。地震への恐怖、被害の大きさは身をもって体感した。震災発生から約1か月後、被災地支援に出向いた。なじみある街が変わってしまった。「正直、本当に悲惨でした。道路も家も。復興は短期間でできるものではない。まだまだ時間がかかると思います」

 被災経験は、初めてではなかった。中学1年で地元を離れ、JFAアカデミー福島に5期生として所属したのが2010年のこと。翌年の3月11日、東日本大震災が発生した。住んでいた寮は、福島第1原発から20キロほどの場所にあった。仲間は、一時的に全国に散り散りとなった。

 震災発生から約4か月後、なでしこがドイツW杯で世界一に輝いた。その雄姿は、当時14歳のサッカー少女だった北川の目に焼き付いた。「パワーをもらえた。今度は自分がそれをやる立場かなと思います」

 ガーナ戦は先発が見込まれる。「五輪でも左サイドを活性化させ、チームに貢献できるようにやりたい」。この試合は第3戦で対戦するナイジェリアを想定した相手でもある。池田太監督(53)も「攻守における連係を確認したい」と“総仕上げ”に意欲を示した。スポーツが持つ底力、そしてなでしこジャパンの地力を石川で示し、パリへと飛び立つ。(岡島 智哉)

 ◆北川 ひかる(きたがわ・ひかる)1997年5月10日、石川・金沢市生まれ。27歳。2015年に浦和レディース(現三菱重工浦和)に特別指定選手として入団し、16年に正式加入。18年途中から新潟に移籍し、23~24年シーズンからINAC神戸所属。代表ではU―17W杯、U―20W杯に出場し、2017年になでしこジャパン初招集。今回が初の五輪出場となる。左利き。164センチ、53キロ。

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