◆第106回全国高校野球選手権埼玉大会 ▽2回戦 浦和学院1―0正智深谷(14日・県営大宮公園)
昨夏王者がまさかの辛勝スタートだ。「この展開をよくものにできた。今回勝ったことは大きい」と森大監督(33)も感心した一戦は、8回まで両者無得点の緊迫した展開。6番の浅田健輔中堅手(3年)が均衡を破った。9回二死三塁、浮いたスライダーをレフト前へ運ぶ適時打。「打順が一巡したタイミングで、相手の変化球を狙おうとチームで共有していた。会心の当たり」と満足げに振り返った。
ここ一番の勝負所でも、緊張はしなかった。「メンバー外の選手もそれぞれベンチ入りへ強い思いで練習してきた。その選手たちの分もという強い気持ちで、絶対に打つつもりで打席に入った」。球場が揺れんばかりの大声で背中を押してくれる仲間たち。その思いを打席にぶつけた。
昨年浦和学院が夏の甲子園に出場した時、浅田はその一員に加わることができなかった。1年秋から2年春までベンチ入りしていたが、調子を崩して夏のベンチから外れてしまった。メンバー外の悔しさも知っているからこそ、一打席にかける思いは強い。
「最後の夏なので特別な思いもある。全員で一つになって甲子園をつかみたい」。支えてくれる仲間への感謝を胸に、浅田は連覇に向けて気合を入れた。(松永 瑞生)