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「もう今は本当に強い」吉川晃司が語る水球男子日本代表の現在地 海外選手と体重差40キロでも

スポーツ報知 2024年7月18日 7時0分

 「五輪戦士にエール Bon Courage Japon!」第2回は、歌手の吉川晃司(58)。中学から水球を始め、広島・修道高時代には、2年連続で高校最優秀選手に選出。U―20日本代表としても活躍したレジェンドが、3大会連続出場にして初のメダルを狙うポセイドン・ジャパンに期待を寄せた。(田中 雄己)

 興奮冷めやらぬ口調で、吉川はまくし立てた。「いや、もう、すごかったですよ」。呼吸を落ち着かせるように、口を潤わせた。

 6月14日。自身が監督を務めた「水球ドリームチーム」が、五輪に臨む水球男子と壮行試合で相対した。ドリームチームは元日本代表らで構成したが、13―18で惜敗。上下黒一色のいでたちでプールサイドに立った“吉川監督”は作戦ボードを片手に歩き回り、指示。得点時は手をたたいて喜び、豪快なガッツポーズも。ライブ会場以上に感情を爆発させていた…かもしれない吉川は「私の時代は五輪なんて夢でしたが、今は3大会連続出場。メダルも夢じゃない」。

 腕まくりしたシャツを、さらにまくし上げた。「小柄な日本選手が、どうハンデを超えるか。泳力、スピード、持久力、あとはセンスが磨かれていますよね」。エースの稲場悠介(24)らのプレーをたたえながら、重ねた。「世界には、力で押せない。体重なんて40キロ違う。ただ、その差を埋めるテクニックがあります」

 U―20日本代表としても活躍した吉川ならではの言葉が並んだ。

 「陸上のように急に走ったり、止まったりして相手との距離を稼ぐのが難しいので。何をするかというと、意表をつく」。長い腕を振りかざして、身ぶり手ぶりを交えた。「武道のように体重移動で、相手の逆手を取る。柔道や合気道のようにね。だから彼らは素早く動くために、体脂肪を全く付けていないんですよ」

 東京五輪では南アフリカに勝利し、ロサンゼルス五輪以来37年ぶりの五輪白星を挙げた。「(12チーム中)8チームが決勝トーナメントに進める。そこに残れば、メダルも…」。一拍あけ、声を上げた。「もう今の日本は、本当に強い」

 自身は、5月から日本水泳連盟水球委員を務める。

 「来年還暦を迎える中で、人格はほとんど水の中で形成してきた。人格形成に、大いに関わった水球に恩返しする年齢になったかなって」。鼻で大きく息を吸って、吐いた。目つきは、鋭くなった。「いい言い方じゃないかもしれないけど、『客寄せパンダ』で大いに結構。多くの人に、水球を知ってもらうきっかけになるのだったらね」。言葉の端々に覚悟をにじませ、さらに力を込めた。「でも、本当に僕も見たことがないようなシュートを打ちますからね。今回は、楽しみですよ」。不敵な笑みを浮かべ、その時を待ち焦がれた。

 ◆水球 「水中のハンドボール」と呼ばれ、7人構成のチームで、8分間のピリオドを4回行いゴールを奪い合う。試合中は、ゴールキーパー以外足を着いてはいけない。日本男子は、1932年ロサンゼルス五輪で4位に。88年ソウル五輪から7大会連続で出場を逃したが、2016年のリオデジャネイロ五輪、21年の東京五輪に出場。

 ◆吉川 晃司(きっかわ・こうじ)1965年8月18日、広島県出身。58歳。84年にシングル「モニカ」でデビュー。89年、布袋寅泰とのユニット「COMPLEX」を結成。翌年、活動停止。俳優としても活躍を続け、2009年NHK大河ドラマ「天地人」(09年)、TBS系「下町ロケット」(15年)、NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」(22年)など多数出演。16年には、水球日本代表の公式応援ソング「Over The Rainbow」を書き下ろした。身長182センチ。

◆水球男子日本代表の試合日程(日本時間)

28日・後7時5分 予選リーグ・セルビア戦

30日・後10時 フランス戦

8月2日・前4時5分 ハンガリー戦

3日・後5時30分 スペイン戦

5日・後8時35分 オーストラリア戦

7日 準々決勝

9日 準決勝

11日 決勝

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