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【高校野球】奈良県初の女性ノッカーの夏終わる 敗戦に涙も「3年間で一番楽しい試合」

スポーツ報知 2024年7月17日 22時5分

◆第106回全国高校野球選手権奈良大会 ▽2回戦 天理4―0畝傍(17日・さとやくスタジアム)

 奈良県内屈指の進学校・畝傍(うねび)が、甲子園常連校の天理に完封負けを喫した。

 しかし、守りでは4失点と粘りを見せた。その守備陣を支えたのは、和田実央菜マネージャー(3年)。中学までの野球経験を買われ、昨夏の新チーム結成後からはノッカーを担当するようになった。「元々野球やってたのもあり、選手のみんなにもアドバイスしたりしていた。(ノッカーを頼まれた時は)ちょっとでも選手たちのサポートがしたかったので、嬉しかった」と振り返る。

 「最初は全然うまくなくて、難しかった」と慣れないノックバットに苦戦。それでも、「ほぼ毎日打ったり、素振りもしてたので、うまくなった」と難なく内野ノックを打てるレベルにまで上達した。主将としてチームを率いた飯田倭都(やまと、3年)は「最初は(なかなかうまくいかずに)悩んでいるところもあったと思う。それでも、野球をやっていただけあって、伸びるスピードは格段に速かった」と、その成長ぶりに感心した。

 そして迎えた最後の夏。天理との大一番を直前に控えたグラウンドでも、和田は普段と変わらずノックバットを握る。約4分間、堂々と内野ノックを打ち続けた。試合中は、記録員としてベンチでスコアを書きながら、声でナインを鼓舞。強豪相手に敗れ、ゲームセット直後には大粒の涙を流した。それでも「悔しいけど、3年で一番楽しい試合でした」と、晴れやかな表情を浮かべた。また、主将の飯田は「今日が一番いいノックだった」と、一年間ともに守備練習をした仲間にねぎらいの言葉を贈った。

 試合後、和田は3年生部員から「最高のマネージャー」と刺しゅうされたグラブを、サプライズでプレゼントされた。「全く知らなかったので、めっちゃ嬉しかった」と大喜び。「3年生みんなで試合をやるので、そこに出て使いたい」と、自身も出場予定のメモリアルゲームでは左手にはめることを明かした。

 奈良県高野連によると、和田は同県の高校野球で初の女性ノッカー。その足跡は、“無失策”という形で、それぞれの部員の心に刻まれた。

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