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羽生結弦さん「ダニーボーイ」は「運命の出会い」 15分演目構想も プロ転向2年インタビュー第2回<後編>

スポーツ報知 2024年7月20日 4時1分

 プロ転向を表明してから19日で、丸2年を迎えたフィギュアスケートの羽生結弦さん(29)のインタビュー。第2回はスポーツ報知の単独取材に応じ、あるプログラムとの「運命の出会い」について明かした。(聞き手・高木 恵)

 ―今後挑戦したいプログラムは?

 「本当は、15分プログラムとか作りたいんですよ。でも、難しいなって思ったりもします」

 ―それは体力的なもの?

 「体力的なものも、もちろん大変ではあります。例えばジャンプをそんなに跳ばないにしても、退屈になってしまうのは嫌ですし。いわゆるコンテンポラリー的な動きで作りたいなとも思いつつはあるんですけど、もたないな、っていう」

 ―構想としてはある。

 「一応、なんとなくはあるんですけど、まだそこまで振り切れないですかね。分からないですけど。まだこの曲で滑りたいっていうものに出会えてはいないです、自分の中で。15分、20分で滑り切りたいみたいな曲に、まだ出会えていないのかなっていうのも、あります」

 ―「ダニーボーイ」(※1)は以前にも増して寄り添う感じ、優しさが伝わってくる。この2年で表現の幅が増えたことによるのか、内側からの変化なのか。

 「もともと存在している感情を、より新しい手法で伝えられるようになったのかなっていう感じはしなくはないです。それこそ『ノッテ』(ノッテステラータ)を滑る時もそうだし、『春』(春よ、来い)を滑る時もそうなんですけど、慈愛みたいなものとか、祈りみたいなものを、どういう曲調で、どういうふうな手の振り、手の使い方、上半身の使い方であったりで表現するかっていうことが、今までどちらかというと、クラシックであったり、ポップスであったり、インストにしたとしても、『春』はもともとはポップスの曲ですし。今回、ジャズの曲調でっていうのが、すごく自分の中にも今までなかった引き出しだったし、それをやっと、ちょっとこなせるようになったかなっていうのが、一番、印象として違うんじゃないですかね。もちろん、年齢を重ねて、だんだん大人になってきているっていうのもあるとは思うんですけど、それを表現するための体の使い方であったりとか、思考回路みたいなものも、また、ちょっと追いついてきたのかなという感じはします」

 ―「ダニーボーイ」は星野源さんから薦められて。

 「そうです。番組でおげんさん(※2)にお会いして、『これいい曲だよね』っていうことになって。もうあの瞬間に、自分の中で、ああ、これだな、みたいな感じになりました。ほぼ即決めで、自分の中で、この曲滑ろうってなっていましたね」

 ―スッと入ってきた?

 「自分のインスピレーションが浮かぶものと、あとは曲を聴いて最初の出だしの段階で、自分が立っている姿というか、スケートで滑れている姿が想像できる曲って、なかなか出会えないんですよ。今めちゃくちゃ曲を探しまくっているんですけど、なかなかないなって思うんです。でもあの曲は本当にもうスッと浮かんだんで。これだ、っていう感じはありました。曲調的には自分で振り付けできるものじゃないし、この曲は割と、何回も何回も滑っていって、熟成させていく必要があるなっていうのも感じていたので、これはもうデービッド(ウィルソン=※3)だってすぐに浮かんで、お願いしました。あの子は本当にもう急展開というか、運命の出会いを果たしたなっていう感じでした」

 【※1】演奏はキース・ジャレット。今年3月の「羽生結弦 notte stellata 2024」で初披露。

 【※2】星野源の番組「おげんさんのサブスク堂」(NHK、昨年8月放送)にゲスト出演。「おげんさんの弟」という役どころで音楽について語り合った。

 【※3】カナダの振付師。ソチ五輪フリーの「ロミオとジュリエット」や「ノッテステラータ」「春よ、来い」を振り付け。

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