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炎天下の階段ダッシュ…坂本勇人が地獄からはい上がり復帰10打席目ついに初安打「継続して打てるように頑張ります」

スポーツ報知 2024年7月20日 5時0分

◆JERA セ・リーグ 中日1―0巨人(19日・バンテリンドーム)

 巨人・坂本勇人内野手(35)が、中日戦で1軍復帰後10打席目で待望の初安打だ。難敵の高橋宏から2回の第1打席に二塁内野安打をマークした。チームは球宴前最後となる3連戦初戦で、球団ワーストタイとなるシーズン15度目の完封負け。散発4安打、今季最多タイの13三振と沈黙した打線の中で一筋の光明となった。7回1失点の戸郷翔征投手(24)は細川のソロでこのカード2年ぶりの失点を喫して5敗目。広島が勝ったため、8日以来の2位に陥落となった。

 復調の光が坂本に差し込んだ。誰もが待っていた瞬間が訪れた。両チーム無得点の2回2死。1ストライクから高橋宏の外角低め153キロ直球を一、二塁間へとおっつけた。二塁手・板山のグラブをはじき、内野安打となった。

 12日に1軍復帰後、10打席目で初めてのHランプ。復帰後初安打は偶然にもプロ1年目の2007年にプロ初安打を放った時と同じバンテリンDだった。「継続して打てるように頑張ります」。笑顔はない。6月16日の日本ハム戦(エスコン)以来、約1か月ぶりの快音を響かせた背番号6は、淡々とバッティンググラブを外した。

 苦しんだ。打撃の状態が上がりきらない。打率は2割5分前後を推移し、長打もなかなか出なかった。「いい状態が続かないなと」。6月14日の日本ハム戦(エスコン)で決勝弾を放ったが、再び快音が止まった。泥沼に沈んだ。6月26日に登録を抹消。「何も正解が見つかっていない」。糸口はつかめていなかった。

 もがく中で、自身を見つめ直した。動作解析などができる寮内のラボでチェックすると、体のバランスが乱れていたことで打撃時の体重移動がスムーズに行えていないことが分かった。修正するためにバットを振り込むだけでなく、走り込みも重点的に敢行。体の軸と安定した下半身を作り直すことが狙いだった。炎天下で勾配の異なる坂道や階段を黙々と駆ける日々。球団スタッフも驚く質の高い豊富な練習量で、はい上がるきっかけをつかんだ。

 12日に1軍へ復帰してからも試行錯誤。若手選手が行う早出練習に自ら参加した。打席では右打ちや進塁打に徹することもあった。8回無死で迎えた第3打席。追い込まれてから、低めの変化球を見逃し、際どいコースはファウルで粘った。最後はフルカウントからの8球目に遊ゴロに倒れたが、食らいついた。復調の兆しを見せた坂本について阿部監督も「うれしいと思うし、今後につなげてもらいたい」と、さらなる上昇を願った。

 チームはシーズンワーストタイとなる15度目の完封負けを喫し、連勝はストップした。それでも坂本が再出発できたことは明るい材料。試合後は白い歯を見せることなく、バスに乗り込んだ。背番号6の逆襲はここから始まる。(宮内 孝太)

 ◆坂本のプロ初安打 ルーキーイヤーの07年9月6日の中日戦(ナゴヤD)、同点の延長12回2死満塁の好機に代打で登場。2ボール2ストライクから高橋の直球を中前に落とす2点打を放った。通算3打席目での初安打は貴重な決勝打となった。

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