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パリ五輪ボクシング代表・岡沢セオンへ、高校時代の恩師から「ボクシングを楽しめ」…パリへ届け・東北からエール

スポーツ報知 2024年7月20日 5時40分

 パリ五輪ボクシング男子71キロ級代表の岡沢セオン(28)=INSPA=は、日大山形高入学後にボクシングを始めた遅咲き。同校ボクシング部顧問の佐藤祐平さん(39)は「自分を信じて最後まで戦い抜いてほしい」と期待を込めた。

 6月のある日、佐藤さんとの電話で岡沢は宣言した。「今の状態なら絶対に金(メダルを)取れます」。21年東京五輪ではメダル獲得を期待されながらもウエルター級(69キロ以下)で2回戦敗退。佐藤さんは「オリンピックが終わって本人と話したんですけど『最後の最後まで自分を信じ切れなかった。相手のプレッシャーに負けてしまった』と。代表として出ていることを自覚して、責任感も持ちながら臨んでいたんだな」と振り返る。

 負けた悔しさから試合翌日には練習を再開。3年後に向けて前を向いていたという。昨年10月の杭州アジア大会で日本勢29年ぶりの金メダル(決勝は不戦勝)。2位までに与えられるパリ五輪出場権を獲得し、リベンジのチャンスをつかんだ。

 先輩の勧めで高校からボクシングを始めた岡沢に対して「ボクシングを楽しめ」と指導した。「駆け引きにおいて相手の考えを上回ることが面白い、楽しいんだよと伝えました。そこで彼は面白さに気が付いて、ぎゅーんって伸びていったのかなという気がします」

 同じ競技ではあるものの、プロとアマではラウンド数や採点方法が異なるなど違いは大きい。「野球とソフトボール、(陸上の)短距離と長距離くらい違う。プロは倒して勝つ―だけど、アマはポイントを奪うことが必要」。プロではスーパーバンタム級統一王者・井上尚弥が圧倒的な人気を誇るが、岡沢には「井上尚弥じゃなくて岡沢セオンを目指す、と言われたい」という夢があるという。

 卒業後もたびたび母校を訪れるなど、2人の親交は続いている。「東京の悔しさをパリで晴らしてほしいし、自分を信じて最後まで戦い抜いてほしい。あとは、ボクシングを楽しめ!」。一番輝く色のメダルを掛ける姿を夢見て、山形から見守っている。(太田 和樹)

 ◆岡沢 セオン(おかざわ・せおん)1995年12月21日、山形市生まれ。28歳。ガーナ人の父と日本人の母の間に生まれる。中学まではレスリングに熱中し、高1でボクシングを始めた。21年東京五輪ウエルター級(69キロ以下)2回戦敗退、同年の世界選手権では日本勢初の金メダルを獲得した。左ボクサー。179センチ。

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