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【番記者の視点】浦和、今季最多の4失点 「中盤ダイヤモンド型」布陣が裏目に…終盤の大逆襲も実らず

スポーツ報知 2024年7月22日 12時41分

◆明治安田J1リーグ▽第24節 浦和3―4札幌(20日・埼玉スタジアム)

 【浦和担当・星野 浩司】 あまりにも簡単すぎる失点が多かった。浦和は前半37分、左CKからDF岡村大八にあっさりヘディングシュートを許して失点。10分後にはオフサイドをかけたとして守備に戻りきれず、背後に抜けたFW鈴木武蔵に追加点を浴びた。闘将DFショルツがいたら、鬼の形相で味方に喝を入れていただろう―。

 激しい雷雨がスタジアムを襲った影響で、ハーフタイムを含めて約1時間後に試合が再開。FWチアゴサンタナを投入し、2点ビハインドから反撃に転じるべく後半に臨んだ。システムを4―4―2から中盤をダイヤモンド型に変更。相手の陣形に合わせて前線の人数を増やしてプレスをかける狙いだったが、完全に裏目に出た。

 後半開始6分に縦パスから自陣左へ展開され、サイドで1―2の状況を作られてピンチに。1アンカー(中盤底)のMF安居海渡がボールホルダーへのマークにつり出され、ポッカリ空いた中央のスペースにパスを通されてMF駒井善成に3点目を浴びた。システム変更で中盤両サイドが中央寄りに位置取り、相手のサイドの選手へのプレスがかかりきらず。DF石原広教は「サイドで数的不利をつくられて、ボールホルダーにいかなきゃと(安居が)行って中が空いちゃった。あまりやったことがなかったので、距離感が良くなかった」と指摘した。

 札幌の選手が歓喜に沸く中、浦和イレブンはGK西川周作を中心にピッチで緊急ミーティング。DFホイブラーテンは「集中するために、目を覚まさなければいけないタイミングだった」と振り返る。ここで4―4―2に戻す案もあったと察するが、まだ後半が始まって6分。MF大久保智明は「この形では(守備面で)難しいんじゃないかみたいな話をみんなでした。ただ、このまま1回やってみようと(共有した)」と明かした。

 だが、不慣れなダイヤモンド型陣形のすり合わせは難しかった。わずか6分後、自陣でプレスがかからずにパスをつながれ、鈴木に左足シュートを決められた。今季ワーストタイの4失点目は痛恨だった。

 0―4の後半16分、移籍後初出場となったFW本間至恩、埼スタデビューとなったFW二田理央、MF小泉佳穂と堀内陽太の4人を一気に投入。慣れ親しんだ4―3―3に布陣を戻した。チアゴサンタナの豪快ヘディング、二田のスーパーゴール、そして伊藤のPK。終盤の3得点で1点差に迫る反撃を見せたが、4点差を追い付き、逆転するには至らなかった。

 前半から1点、2点を先攻するチャンスは多くあった。だが、結果は0―2で前半を終え、システム変更した後半にさらに2失点した。小泉は「4点取られるまでに起きたことは…」と自身の考えを言語化した。

 「自分たちがスタイルを貫きたいところと、90分で勝つためにどれだけ有効的なのかってところの乖離があったり、選手個人個人の意思統一や意識に乖離があるのが難しくなったと思う。オープンでカオスな展開にして、どっちか先に決めた方がすごく楽になる展開みたいなゲーム運びをしちゃうと、今日みたいに決めきれなくて先制点を取られるとなると、どうしてもチームとしてゲームコントロールが効かなくなる。自分たちのスタイルと、90分で現実的に勝ち点3を取りに行くバランスを少し見直さなきゃなきゃいけない」

 昨季はリーグ最少の27失点(34戦)を誇ったが、今季はすでに34失点(24戦)。あれだけ強固だった堅守が見られない試合が多く、伊藤は「守備の構築はこの中断期間でもっとやっていかないといけない」と言う。

 直近3戦は湘南、京都、札幌と下位3チームに1分け2敗。西川は「下位にいるチームに勝ち切れないと上に行くことは難しい。自分たちはまだまだな部分がある。サポーターも選手も誰1人満足はしていないし、違う結果を中断明けから見せていかなければいけない。そういう責任でいっぱいです」。ホーム2連敗でサポーターから大ブーイングを浴びた浦和。正念場を迎えている。

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