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早実のプロ注目スラッガーが木製バットで満塁弾 視察したスカウトの評価

スポーツ報知 2024年7月23日 6時0分

◆第106回全国高校野球選手権大会 西東京大会 ▽準々決勝 早実14―13国学院久我山(22日・神宮)

 西東京では名門・早実が国学院久我山との死闘を制して、4強入りした。2点を追う2回には木製バットで打席に立つプロ注目の強打者・宇野真仁朗内野手(3年)が、高校通算64号となる一時逆転の満塁弾を放ち、3回にはリードを9点に広げるも、13―13で同点にされる異例の展開に。だが8回に勝ち越し、9年ぶりの夏切符へ「あと2勝」に迫った。

 力強い雄たけびをあげた。「よっしゃ、オラ!」。神宮の青空に、宇野真仁朗主将が大きな花火を打ち上げた。「やっとこういう場面で打てた」。2回、1死満塁。低めのチェンジアップをすくい上げ左翼スタンドに運んだ。

 一、二塁間ががら空きの“宇野シフト”が敷かれたが、「外野に飛ばして1点でも取ろうと。自分の打撃を貫くことしか考えてなかった」とフルスイング。高校通算64本目、木製のバットでは16本目となるアーチは、一時逆転となるグランドスラム。視察したロッテ・福沢スカウトも「長打を警戒される中で長打。たいしたもんです」と、評価した。

 最大9点差を追いつかれ13―13の8回、1死から四球を選び出塁。二盗を決めると、次打者の左中間二塁打に、50メートル6秒1の俊足を生かし決勝点のホームを踏んだ。「2番・遊撃」で2安打4打点。死闘を制し「ほっとしました。経験したことのない試合でした」と笑顔だ。

 男3兄弟の末っ子。長男・隼太朗さん(24)は昨年まで米国で野球をしており、次男・竜一朗さん(21、早大4年)は野球部で学生コーチを務める野球一家。竜一朗さんは「真仁朗は(幼少期)1人で家で(野球の)試合をしていた。野球小僧です」と、弟が和室で軟らかいボールを投げ、打っていたことを思い出し笑った。

 大会開幕当初、不振が続き仲間にかけられた言葉がある。「おまえが打たなくても俺らでカバーする。でも最後はおまえ。そこで打てるようにいけ」。心に刻み、応えたその背中は頼もしかった。(大中 彩未)

 ◆宇野 真仁朗(うの・しんじろう)2006年7月5日、千葉県生まれ。18歳。小学4年で野球を始め、浦安ベイマリーンズでプレー。浦安市立日の出中では市川リトルシニアに所属。早実では1年春からベンチ入り。高校通算64本塁打。50メートル走は6秒1。178センチ、81キロ。右投右打。

 ◆早実が生んだ強打者

 ▽王貞治 2年時のセンバツでは優勝投手に。高卒で巨人入団。一本足打法で通算868本の世界記録保持者。

 ▽川又米利 早実時代は左の強打者として「王貞治2世」の異名。高卒のドラフト外で中日入り。プロ通算1415試合に出場。

 ▽清宮幸太郎 早実では1年春から3番。甲子園は1年夏4強、3年春2回戦。高校通算111本塁打。17年ドラフトでは7球団競合の末、1位で日本ハム入団。

 ▽野村大樹 早実では高校通算68本塁打。高卒で18年ドラフト3位でソフトバンク入団。今年7月に西武へ移籍。

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