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【高校野球】日本航空が昨夏王者・東海大甲府を下し優勝、豊泉監督胴上げに涙「前回はしてもらえなかったので…」

スポーツ報知 2024年7月23日 16時3分

 ◆第106回全国高校野球選手権山梨大会 ▽決勝  日本航空7―1東海大甲府(23日・山日YBS球場)

 日本航空が東海大甲府を7―1で下し、3年ぶり7度目の優勝を決めた。1回に4番・小林幹汰内野手(3年)の適時打で先制し、3回には6番・中西海月外野手(3年)の左越え3ラン本塁打で突き放すなど終始リード。投げては先発の左腕エース・高木秀人(2年)と右腕・柳沢拓輝(2年)の継投で失点を1に抑えた。

 最高気温39・4度。猛暑の甲府で歓喜の胴上げが始まった。宙に舞うのは豊泉啓介監督(39)。「監督が泣いているよー」。ナインにはやし立てられると、その涙腺はさらに緩んだ。「感無量でした。3年前の優勝の時は胴上げしてもらえなかったので…」。忘れられてしまった前回の分まで祝福の味をかみしめた。

 県屈指の強打者がそろったとはいえ、決勝の相手は昨年王者。指揮官はロースコアでの接戦を予想していたが、初回から打線に火が付いた。完全に流れを引き寄せたのは3回の中西の3ランだ。2ストライクまで追い込まれたところで、低めのスライダーをすくい上げ、左翼席へと運んだ。「目指しているのは簡単に三振しないバッター。最後に食らいついてやろうと思った」。勝利の立役者は5回、9回には犠打も決め、つなぐ意識も大切にした。

 投手陣も全力を尽くした。甲府盆地を覆う熱気は、先発のエース高木の体力を容赦なく奪っていった。3回に満塁のピンチを乗り切っり、4回には「腕に力が入らない…」と限界も感じたが、気力だけで乗り切った。7回にバトンタッチしたのは右腕・柳沢拓輝(2年)。「ライバルの高木がいいピッチングをしてくれたんだから、それに応えよう」。直球にスライダーを織り交ぜて3回3安打4打奪三振。勝利の瞬間は、金子竜馬捕手(3年)と抱き合って喜びを爆発させた。

 2月には、1月の能登半島地震で被災した姉妹校、日本航空石川の選手たちを山梨キャンパスに迎えた。センバツ出場を目指す彼らとの練習を通じて、学んだことは多かったという。柳沢は「石川の選手たちは甘い球を見逃さない強さがあった。投球する上で勉強になった」と振り返る。

 姉妹校との練習は、ベスト4となった春季大会でも生かされた。5月3日の準々決勝では東海大甲府を8―6で撃破。2か月半後に迎えた、このリターンマッチを「出来過ぎ」と評価した豊泉監督は「春にどっしりと試合ができたからいいイメージを持って戦えたんじゃないか」とナインを頼もしそうに見つめた。

 甲子園での目標はベスト8以上。エースの高木は「先発したら自分らしいピッチングで貢献したい」と意気込んだ。(甲斐 毅彦)

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