◆第106回全国高校野球選手権奈良大会 ▽準々決勝 郡山10―3大和広陵=7回コールド=(23日・さとやくスタジアム)
奈良では準々決勝が行われ、昨夏王者で甲子園出場春夏計35度の智弁学園が、同55度の天理に5―2で逆転勝ちし強豪対決を制した。エース左腕・田近楓雅(3年)が5安打2失点で完投。進学校の郡山は大和広陵を7回コールドで破り、8年ぶり4強入りした。26日の準決勝は高田商―奈良大付、智弁学園―郡山の顔合わせ。
県内有数の進学校が、21世紀初の甲子園まであと2勝と迫った。郡山が10安打10得点で大勝。1―1の3回、先頭で右越え二塁打を放ち、直後に勝ち越しのホームを踏んだ左打者の2番・辰己亜斗夢右翼手(2年)は「チームに貢献できて良かった」と安どした。
丈夫な体で、チームを勢いに乗せた。昭和の人気漫画「鉄腕アトム」のファンである父・彰久さん(47)が「誰からも名前で呼ばれて、愛される人間になってほしい」とその主人公の名を息子に付けた。「昔から亜斗夢は体が強い」と父が言えば、辰己自身も「野球でけがをしたことがない。フルスイングが持ち味」と笑顔。この日は本家さながらのパワーを武器に、右翼手が反応できないライナーで決勝点につなげた。
長年、文武両道を実践してきた郡山ナイン。春夏合わせて11度の甲子園出場、71年夏の聖地4強に導いた森本達幸監督が昨年6月、88歳で死去。辰己は「最後は優勝したい」と同監督が率いた00年夏以来、24年ぶり聖地を見据えた。(南部 俊太)